cafe de sou-ryu

ほっと一息
ちょっと休憩しませんか?

ちいさな灯り

2011年04月03日 01時10分01秒 | I think so …

三月も終わり、昨日から四月。
この節目を早いと感じる方、遅く感じる方、
それぞれが様々な思いで感じておられているのだと思います。
この四月は、少しずつでも多くの方が
春の到来を喜べる事を願っています。



私はここしばらく、会社の展示会の準備で慌ただしい日を過ごしていました。
今日でようやく設営も終わり、月曜日の予備日に最終チェックを残すばかり。
来週からはこれまでとはまた違う忙しい日々が始まります。

こんな時期に、のんきに展示会でもないだろう、という意見も
もしかしたらあるかもしれませんね。
また実際に会を催した所で、現実的に商品が動く可能性もかなり低いでしょう。
けれど、私たちのように被害を受けていないモノづくりの現場では
真摯に前向きに精進する事しかありません。
少しでも経済を回し続ける事でささやかながら何らかの貢献ができれば…。
そして、やはりこうした状況下、仕事ができる事をまずは感謝しなくては!
そう思います。


私の携わっている和装業界でも、この震災で被害を受けられた
方は大勢いらっしゃるのだと思います。
繊維の材料となる麻や、からむし織を生産する福島県、
秋田八丈を生産する秋田市や北秋田市、
結城紬の茨城県や栃木県などなど
被災地の中には多くの和装関係の産地があります。
そしてそれらの製品の陰には、そこに携わる方々の生活があるのです。

生活必需品と違い、きものは一種の贅沢品です。
でも、そうしたきものを生産されている方々の全てが
贅沢な暮らし向きをされている訳ではありません。
昔ながらの工程や伝統を守り、細々ながらも続く生産家もあります。
そして私たちの和装小物業界も、その一部です。
呉服業界は現在、伝統工芸という名の斜陽産業であり、
いま私たちが頑張らなければ、その灯りはすぐに消えてしまいます。
だからこそ今回の展示会は、震災に遭わずにいた私たちにとっても
ある意味では正念場なのです。

もちろんどんな業界でも、同じ事が言えるのでしょう。
仕事が出来る状況に感謝すると共に、各業界の灯りを守る。
それがいま仕事が出来る者の使命なのかもしれません。



さて。本日はもうひとつ灯りのお話があります。
ごく個人的な事なのですが、私は子供の頃から甲状腺に疾患を持っています。
心臓や肝臓といった臓器と違い、甲状腺はあまり耳慣れないものですから、
もしかしたら今回の原発事故で、初めてその名前を耳にされた方もあるかもしれませんね。
甲状腺はちょうど喉仏のすぐ下辺りにある、ごく小さな器官なのですが
この小さな器官は、人が生きるための身体の代謝や成長のホルモンを分泌する、
とても大切なものなのです。

その甲状腺の疾患の一つに使われる薬を生産している、
日本でほぼ唯一の製薬会社が福島県いわき市にあるのですが、
その工場が今回の地震で被災し、震災直後から生産がストップしていました。
日本全国ではおよそ数十万人の人がこの薬を処方されており、
生産再開が解らないまま、国内の供給に不安を感じていましたが
先日の4/1にいわき工場の生産が段階的に再開された事、
また、あるジェネリック医薬品のドイツの本社から、
国内への輸入が開始され、4月上旬を目途に販売されるとの発表がありました。
ごく狭義的な事ではありますが、これも震災の中の小さな灯りなのかな…
そんな風に感じた宗流です。

あすか製薬株式会社



この震災で、さまざまな持病を持つ方にお薬が満足に手元に届かなかったり
必要な治療や看護が充分でない事が未だ多いのだと思います。
普段から滞りなく健康な日々を送れる私たちが想像するそうした不便は、
たとえ病の種類は違えど、健康に不安を抱える方々にとってみれば
離れた地のお話であっても、我が事のように心を痛められておられるのでしょう。
何かの痛みを知る人は、きっと人の痛みにも敏感ですもの。
そうした全ての方に、一日も早く灯りが訪れる事を、心から願っています。



宗流





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12 コメント

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お久しぶり! ()
2011-04-03 08:10:08
ご無沙汰してます(^^;)

東日本者として
自粛自粛は逆に止めてほしいです

テーマを代えるとか
構成を変えるとかして
明るく元気に開催してほしいです

何気ない日常が
どれほどの
どれだけ幸せな事なのかを
身を持って知ったからこそ
暗くならず
日常を送ってほしいです

その中で
個々か出来る事をしていただけたら
それが一番の励みになります


誰かが笑うと
見てるだけで貰い笑いをしてしまう、
そんな事があるでしょ?
みんなが笑顔で日常生活を
送ってくれる姿が
活力になったり希望になります

アタシ個人の思いですが
被災地の友も
同じことを言ってますよ。。

どうか
必要以上に重苦しくならずに
明るく元気にお願いしますo(^o^)o


展覧会
楽しんで盛り上げて下さいね♪
返信する
自粛ムードが漂いますが… (宗流)
2011-04-04 00:29:00
こんばんは、姫さん。
こちらこそしばらくご無沙汰しておりました、
お元気にされてましたか?

自粛ムード…これも難しいところなんでしょう
ね^^;
こちら西日本は、直接的には被害がなかった
せいで、誰もが自粛自粛で意気消沈していては
いけないと思いつつも、なかなか普段通りに
する事に対して、罪悪感のようなものを感じ
る…そんな人が多いのだと思います。
でも、同時に実際にはそれではいけない!と
解っている、そんな雰囲気を感じます。

今回の展示会も、震災直後には時期を見送るか
規模を小さくして…との話も出たのですが、
自分たちがいま出来る事は、前に進み続ける
事、という結果に落ち着き、明後日から開催
する事になりました^^

この案内状を作る時、文面にも少し上の思いを
盛り込んだのですが、花弁を散らした桜色の渦
を背景にデザインしました。まだまだ不安の色
濃い日々が続くのかもしれませんが、せめて
この展示会中は見て頂いた方を雅やかな春色の
渦に巻き込みたい…そんな思いのデザイン、
その色で誰か一人でも元気になってもらえれ
ば、そんな風に思っています^^v

仕事の上ではありますが、これも私なりの出来る事、なんです♪
返信する
Unknown (ヨヨン)
2011-04-04 12:49:27
ちょっとちょっと宗流たんも甲状腺に疾患があったの?((( ((;゜Д゜))) ))

ヨヨンもだよ~Σ(-`Д´-;)

なんでこんなに似てるの~ヽ(*'0'*)ツ

ビックリしたぁ(゜∀゜屮)屮
返信する
きっと前世でね… (宗流)
2011-04-04 23:05:12

こんばんは、ヨヨンたん。

ちょっとちょっとマジで~!?(汗)
私もびっくりしちゃった!
もしかしたら、自分の母親以外で同じ疾患を
抱えてた人を知ったのって初めてかも^^;
でも、ヨヨンたんも今は健康で何ともあり
ませんように。

うん、ホントに思いがけないところでよく似て
るよね、ヨヨンたんと宗流って。。
もしかしたら、前世で何かあったのかもよ。
何か、切っても切り離せない間柄みたいな…!

机と椅子、とかね
鉛筆と消しゴム、みたいな^^
…って、なぜかモノばっかり(笑)

けどマジメな話、ヨヨンたんもくれぐれも常々
身体には気を配って下さいね!
返信する
Unknown (海月)
2011-04-05 02:07:11
宗流さん、こんばんは^^

現実の色々な事と、人それぞれが抱える色々な気持ち…
その両立というのはとても難しい事の様に感じます。
一般的にはどんな仕事も、それに携わる人たちも
日々のやるべき事をこなす事が何よりの事と思うし、
日本の経済の事や、ましてや伝統のある分野の産業の事を考えると
こんな状況だからこそ、より前を向いて積極的に色々な事に専念するべきと言われるかと思います。
けれど、それを行うのは生身の人間。
頭でわかっていてもどこかに不謹慎とか申し訳ないとか…そんな思いがよぎったりするのは当然のことなんですよね。
それを否定することは出来ないし、人々が「感じる」ことを誰も止める事は出来ないのですもの…

結局のところ、やっぱり自分自身で自分なりの進む道を考え、
信じた道を行くしかないのだと感じます。
それがどんな道であったとしても、
誰もそれを責めるべきではないし、また自分の考えを強制するべきでもないと考えます。
仕事となると、そこにいる人たちの気持ちが一丸とならないとなかなか難しいと思いますけれど…
もし信じた道が少し違っていたとしても、お互いにそれを認め合って、そこからまた新たな答えを探していく…
そんな風に進んで行けたら、色んな事がきっとよい方へと向かっていってくれるような気がします。

展示会、色々と大変かと思いますけれど、
成功するようにお祈りしています^^
返信する
大事な事のひとつ (宗流)
2011-04-05 23:08:30
こんばんは、海月さん。
少しずつでも、落ち着かれた様子で安心しました。

そうですね、確かに物事の両立って難しいものですね…。
それがモノや行為ならまだしも、片方が気持ち
となると、その均衡を何処で保つか…そんな
風に感じます。
人間ですもの、目の前のやらなきゃいけない事
にも大なり小なり影響が出てしまう事も否めません。
そして海月さんの仰るように、その事を誰も
非難も否定もできないのだと思います。
その葛藤や拮抗した思いを、たとえゆっくりと
したスピードであっても、何とか消化するのは
自分自身、そう思います。けれど、それを誰か
が助けたり、誰かを助けたりしながら、人は傷
を癒してまた立ちあがる事ができるようになる
のかもしれません。
これって、言葉にすると簡単な表現ですが、
私はとても大事にしたいと思っている事なんです!
もちろん、海月さんが何かで辛い思いを抱えて
いたとしても、宗流は同じように思いますよ^^

人は自然の前では小さいし、色んな物事に動揺
したり、自分自身の中に答えも迷いも持ってる
し、時にはへこたれたり、立ち止まったり、
後ろへ下がったりもするけれど、人は優しさと
強さを限りなく秘めた生き物です。私はその
それを信じたい、そう思います。
そして、それをサポートしてくれる、縁の下の
力持ち的なものが、自分の信じる道なのかな、
そんな風に感じています。

展示会…暖かい応援ありがとうございます^^
これも私の好きな信じる道です。頑張りますよ!



返信する
Unknown (cani2)
2011-04-06 16:47:49
いわきにそんな大切な工場があったなんて
初めて知りました。
私のブログに来られる方の中にも
もう一人いらっしゃるんですよ。
不安だったでしょう?
再開してくれて本当によかった。

私もよく病院に行くと疑われるんですよ。
おとがいって言うのかな?大きめらしくて。
もちろん、cani2はなんでもないですけどね。
早くいわきの建て直しが進むことを祈ります。
返信する
採血で^^; (Ryo-Yong)
2011-04-06 19:53:32
こんばんわ♪

ワタクシ・・・
病院で採血の結果で「甲状腺」の値が標準よりもいつも低めです。

宗流さんが「甲状腺」の病・・・
全く知らなかったです・・・ゴメンナサイ。

今、花粉症で
頻繁にくしゃみが出ます^^;
返信する
点された灯り (宗流)
2011-04-06 21:27:16
こんばんは、cani2さん。

宗流はcani2さんだけでなく、福島県にこんな
一面でもお世話になってたんですよ。
あまりに個人的なお話なので、記事にするのも
どうかと思ったのですが、同じ疾患を抱えた方
に、ほんの小さな灯りを感じて頂けたら、
そしてそうした方の周りにいらっしゃる方にも
ささやかながら安心を感じて頂けたら…そんな
思いでお話にさせて頂きました。

全体から見れば、ホントにごくごく小さな一面
ですが、それでもこの事を見聞きされた方に
この一件だけでなく、被災地の中で懸命にそれ
ぞれの建て直しをはかってらっしゃる方がたく
さんおられる事、そしてそこに小さな灯りが
点った事を感じて頂ければと思います。

私は幸い不安もなく、今は普段の生活をほんの少し注意するだけで大丈夫です!
お気遣いありがとうございました^^
cani2さんのお友達の方も、大義なく過ごさ
れてらっしゃるといいのですが…。
そしてcani2さんも、毎回の事で食傷気味かも
しれませんが(汗)くれぐれもご体調には
お気をつけ下さいね!

返信する
これも個性の一つです (宗流)
2011-04-06 21:42:42

こんばんは、Ryo-Yongさん。

甲状腺…私は亢進症の後、投薬で重篤な副作用
に陥り、手術をしてから低下症になりました。
大変な事はものすごくたくさんありましたが、
今はこれも私の個性の一つだと思ってます。
でもそれを隠すつもりもないですし、逆にそれ
を誇張したいとも思ってないんです。
ただそれをお話にする機会なんてそうそうあり
ませんし、たまたまという所ですね^^

Ryo-Yongさんもあまりお疲れが取れなかったり
気分的にネガティブさが晴れなかったりする
ようなら、お医者様とよくご相談なさって下さいね。

花粉症の辛さは私には解らないのですが、少し
でもひどくなりませんように。
お大事になさって下さいね。

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