羽花山人日記

徒然なるままに

同性婚の子供

2025-02-04 20:32:43 | 日記

同性婚の子供

朝日新聞デジタルに、『科学と倫理の交差点』と題する記事が、1月15日から4回にわたって連載された。

すでに実現している技術、あるいは近未来に実現が可能な技術がはらむ倫理的な問題を、具体例を示しながら提起している。

iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた子供づくり、スポーツにおける補助器具あるいはドーピングの問題、AIを用いて故人を「復活」させる問題が取り上げられ、倫理をどう考えるかの簡単な解説とともに議論している。

京都大学教授の児玉聡さんがそれぞれの技術について、倫理的な側面を解説しているが、結論は述べられていない。

わたしにとって、ここで取り上げられた技術は無縁であるが、iPS細胞を利用した子作りと、AIによる故人の「復活」の話題には興味を覚えた。

2023年に大阪大学の研究者が、雄のマウスのiPS細胞から卵子を作り、それに雄のマウスの精子を受精させて、7匹の子供マウスを生まれさせた。

哺乳動物が受精によって子供を作るのは、雌と雄の間の交雑によってであり、同性の間の生殖というのはなかったことである。

この技術はヒトにも論理的には応用可能である。すでに人のiPS細胞は作られていて、これから卵子を誘導すれば男性と男性の間の子供を作ることができる。女性のiPS細胞から精子を誘導すれば、女性同士の子作りが可能になる。つまり、同性婚でも実子を持つことが可能になるのだ。

自分のiPS細胞から誘導した卵子または精子と、自分の精子または卵子と受精させれば、一人で子供を持つことが可能になる。

1996年に、哺乳動物では初のヒツジのクローンが誕生して、ヒトでもクローンを作ることが論理的には可能になった。以来30年、映画や小説では扱われているが、実際には倫理的、法的に問題ありとして強く規制されている。日本では「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」があり、違反すれば懲役刑が科せられる。

では、iPS細胞を用いた子供づくりの場合はどうか。生命の在り方を歪めるものとして排斥する意見があるだろう。他方、同性婚者が実子を持つことを可能にする技術と評価する意見もあるだろう。

わたしには、どちらに与するかという確固とした意見はないが、感覚的にすんなりとは受け入れ難いというのが、正直なところである。

しかし、生命倫理は時代により変化するものである。体外受精によって子供を持つということは、当初は議論を呼んだかもしれないが、2021年に日本で生まれた子供の12人に1人が体外受精によるものだったそうで、今や常識化している。

同姓の間の受精による子作りの議論はどう展開されていくのだろうか。いずれにせよ、わたしの死後の話であるが。

連載記事の4回目はAIによる故人の「復活」を扱っていた。この技術はすでに実用化している。

2019年のNHK紅白歌合戦には、AIによる「美空ひばり」が登場して、「新曲」を披露したらしい。わたしはこの番組を観なかったが、Youtubeで観た「AIひばり」は見事な出来栄えであった。

アメリカのヒア・アフター社では、愛する人を亡くした喪失感をケアするために、生前の同意に基づいて「AI故人」を提供しているという。

この技術はわたしにはぴったり来ない。わたしが「AI故人」になることはまずないし、その技術で親しい人の「AI故人」と会話する気にはならない。

やっぱり故人は故人として、思い出の中に置きたいと思う。

 

STOP WAR!

 


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5 コメント

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Unknown (寺井)
2025-02-05 08:11:49
いやーッ、今日の話はすぐに、反対意見も言えなければ、そうかと言って〜何とも言えません。
倫理的にどうかと言うより、ただびっくり。
ただし、自分の子がモテることは嬉しいのでは〜。
でも、やっぱり何ともーー言えません。
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Unknown (kamijimaakio)
2025-02-05 08:28:31
iPS細胞を利用して子作りができること(同性婚の子供)を初めて知りました。私も感覚的にこの技術は受け入れ難いですね!
「AI故人」を作りだす技術に恐れ入るが、使いたいとは全く思いません。行き過ぎる技術は人を幸せにするか疑問?ですね!
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Unknown (山人)
2025-02-05 16:02:08
既存の規範では律しできない問題が出てきますね。人類に分断を持ち込むものでなければいいのですが。
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Unknown (天野明)
2025-02-05 17:01:20
IPS細胞を利用しての子作りが可能な事を初めて知りました。「生命学」の奥行の深さは計り知れなく深く素人の私は恐怖感を抱きました。
「AI故人」を作る技術は素晴らしいですが殆ど興味がありません。ユーチューブにて「AI故人」美空ひばりの歌を聞きましたが嫌悪感を抱きました。
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山人 (Unknown)
2025-02-05 21:12:52
新しい技術が出てきても、人間社会がそれを受け入れて、発展に結びつけられるかどうかは別問題ですね。バイテクとかAIとか、深淵を覗き込むような感じに襲われることがあります。
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