孤独のグルメ(劇場版)
ショッピングモールに買い物があったので、ついでに、息子推薦の『孤独のグルメ(劇場版)』を観てきた。
劇場映画を観るのは、『オッペンハイマー』以来だから1年振りくらいになる。
『孤独のグルメ』は、テレビ東京配信の連続ものを以前は観ていたが、このところご無沙汰していた。
松重豊さんが扮する井之頭五郎が、国内外の店を仕事の途次に訪れ、メニューを慎重に検討し、出された料理を内心独り言ちしながら味わう模様は、観ている方もその店に行ってみたくなるよう感じを起こさせた。
出演者は俳優だが、実在の店を使ったドキュメンタリーで、放送されるとその店には予約しないと入れなくなったようだ。
松重さんはいつも何品かの料理を完食し、よくあれで肥満にならないと思ったが、撮影の前日と翌日には絶食して体型を維持していたとか。
テレビ東京開局60周年特別企画で作られたこの劇場版に松重さんは脚本、監督、主演を務めた熱の入れようである。
井之頭五郎は、パリ在住で、かつての恋人の娘の祖父松尾一郎老人に頼まれた絵を持参し、そこで老人が故郷の五島列島で味わったスープ「いっちゃん汁」をぜひ飲みたいので、食材とレシピを探して欲しいと依頼される。
漠然とした依頼に応えるべく、五郎は探しの旅に出かける。五島列島の島から別の島にカヌーで渡ろうとして嵐に見舞われて遭難し、正体不明の「食品研究所」なるものがある韓国領の孤島に流れ着き、何とかそれらしい食材を集めて、東京のラーメン屋にスープ作りを頼み込む。
あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので、観てのお楽しみということにするが、この映画のカットの扱いが面白かった。
これも息子の紹介だったが、映画監督の濱口竜介さんが書いた本の中で、カミさん方の甥で、夭折した映画監督堀禎一と対談していて、その中でカットの扱いが話題になっていた。以来、テレビドラマを観るとき、カットがどのように始まり終わるのかが気になるようになった。
この映画は独立したカットの連続から成っているように感じた。ももちろんストーリーの順にカットは配置されているが、前のカットと次のカットの間には断絶がある。例えば五郎が流れ着いた海岸に突如ガスコンロと鍋が出てくる。食あたりしてずぶぬれのまま救助された五郎が着るワイシャツは、次のカットでは糊がきいて、その上ネクタイが締められている。
連続したカットだと、これは不自然である。しかし、そのカットはそれとして楽しめばいいと思えば構わないことになる。
全編そうしたカットの並べ方で、面白い映画手法だと感心した。
旅の途中で、おなじみの「腹が減った」のセリフが眉間に皺を寄せた表情とともに登場する。そして都合よく、それに応える店やキッチンが出てくる。
テレビのように料理の品数は多くないが、相変わらずきれいな食べ方で完食している。最後に近いシーンで、カウンターに並んだ4人の俳優のラーメンの食べ方は実に鮮やかである。
内田有紀、杏、オダギリジョー、塩見三省、村田雄浩、遠藤憲一、ユ・ジェミョンと並んだ配役陣は、映画ならではの豪華版である。
松重さんは、映画の公式ホームページで、この映画を伊丹十三監督の名作、『たんぽぽ』へのオマージュだと述べている。
なるほど。井之頭五郎は、この映画では食を楽しむだけではなく、究極のスープ作りを追求している。
明日の昼飯はラーメンにしようかな。
柚子
STOP WAR!
テレビの「孤独のグルメ」は時々見て楽しんでいました。明日はラーメンを食べに行こうかな?
映像を観て自身の食欲増進にもなりました。「孤独のグルメ」の企画は最初「フジテレビ」に持ち込んだが「面白くない」と断られ「テレビ東京」へ売り込み
放映が決まったとの事。ヒット後「フジテレビ」編成局で悔いていると聞きました。松重さんの無表情で食する演技力は見事ですね。松重さん自身は少食の様ですね。劇場まで観に行かれる山人さんの行動力は凄いですね。日々好奇心を持つ事は大切ですね。