近所のスーパーにたこ焼きの出店が出ていたので買ってみた。
それで思い出したのが、学生時代に住んでいた東京の大塚で見かけた子供のこと。その子供は4歳か5歳くらいで、駅前の商店街の雑踏の向こうから、両手のひらに買ったばかりのたこ焼きの紙包みを差し上げるように持って、満面の笑みを絶やさずに人混みのなかをするすると小走りに駆け抜けて行った。早く家に帰って食べたいというあふれんばかりの気持ちを周囲に振りまきながら。それはまるで金粉をまとったティンカーベルのようだった。
無辜な幸せは周りも幸せにしてくれる。今でもこの情景を思い出すたびに幸せな気分になれる。