絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

麓原展に出品された高校生の絵5

2011-11-07 | 高校生の絵
本庄第一高校美術部の生徒の絵です。

 

左は、現代的な絵です。雲の表現や人物との組み合わせは、棚沢先生の影響もあるでしょう。
テーマ性、バランスやリズムなどよく考えられています。
私のセオリーから言えば、主役が弱い感じがします。5人の内、主役になる人をもう少し強く出してもいいのかなと
思います。また、問題点はややイラストに見えることです。絵画とイラストの違いを少し考えると良いでしょう。

右は、本当にこんな所を絵にしたの?と言いたくなるくらい何でもない場所です。
しかも、メインが歯ブラシです。あまりにも小さい。
生活感の感じる絵、しかも題名がファミリーだったかな?歯ブラシが並んでいるので、何人家族かもわかりますね。
テーマとしてはとても良い所に目をつけたと思います。
左の絵と比べると、絵になっています。イラストではありません。
私が、絵として感じるのは、現実空間を感じる点かもしれません。自然な空気を感じます。

左の絵が、イラストに感じるのは、現実の光が感じないためかもしれません。
それは、白いシャツを着ていても、室内から外を見ていたら、逆光になるだろうと思います。
いや、室内は電気がついているから明るく見えるという言い訳はあるでしょう。
しかし、その場合には、外の光と室内の電気の光の両方の光を描かなければ、現実にはなりません。
要するに、見える通りの光からは、かなり離れた表現になっているのです。

現実にはあり得ない光を絵にしたとき、作ったものという感じが強まります。また、明暗を描かないと平面的になります。
線を同じ強さで、同じ幅で描くと、漫画的になります。

しかし、色に深みや味があるとイラストではなく絵画として感じます。色の深みや味とは、微妙な変化です。

この二点は、その事を考えるのに、良い参考例だと思います。

右の絵は、透視図法に心配があります。見上げているので、窓枠など上に行くほど狭く感じる訳ですが、歯ブラシの入れ物がその線に沿っていないように感じます。現実がどうか、もう一度確認してみてくださいとアドバイスしました。


コメント
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