杉並区では毎年、動物愛護週間(9月20日~26日)に
講演会などのイベントが開催されます。
今年は愛護週間が始まる前日の9月19日(火)、
改修工事を終えたばかりのセシオン杉並で講演会が開かれました。
テーマは「動物と共生していくためには」。
午前と午後の部に分かれ、午前の講演会は
杉並どうぶつ相談員が講師を務める「犬の飼い方講座」。
本来は、相談員の<企画広報班>が保健所の協力を得て実施する
「区民講座」なのですが、
保健所の講堂が現在、講座の会場として使用できないため、
動物愛護週間の区事業に組み込んでいただきました。
2008年にスタートした「杉並どうぶつ相談員制度」ですが、
相談員が講師として区の動物愛護週間事業に携わるのは初めてのことです。
愛犬にとっても、飼い主にとっても、
そして、人と動物とが和やかに共生していくためにも、
動物福祉に基いた「飼い方の基本」を押さえておくことは大切です。
そこで、ビギナー飼い主や、犬を飼いたい方を対象にした
「犬の飼い方講座」を企画しました。
題して、「愛犬と暮らすために知っておきたい20のこと」。
講師を務めた相談員はドッグトレーナーやペットシッター、
ペット介護士といった資格を有し、豊富な飼育経験と専門知識をお持ちです。
講座に参加された方がすぐに実践できるよう、
必要な知識と情報について検討を重ねました。
(朝井相談員)
朝井相談員は、犬を飼い始める前に留意しておきたい事柄や、
迎え入れ時の注意事項、日常のケアや飼養のポイント、脱走防止策、
しつけ方のコツや社会化、保護犬の譲渡などについてお話されました。
「生きものを飼うというのは命を預かることであり、
法的、道義的、社会的な義務と責任を伴う。
子育てとの共通点が多い」
という言葉が印象的でした。
古川相談員は、飼い主責務としての畜犬登録やマイクロチップ、
狂犬病予防接種、動物病院の選び方やペット保険などについて、
わかり易く流暢に説明されました。
(古川相談員)
保健所生活衛生課をはじめ、スライド資料の作成や広報、
個別相談などに協力してくださった相談員の皆さまに感謝申し上げます。
当日、会場に足を運んでいただいた方々にとって、
少しでもお役に立つ講座であったならば幸いです。
さて、午後の部は、弁護士の浅野明子先生による、
「ペットに関する近隣トラブル」の講演会。
都市部の住宅地でトラブルになりがちなのがやはり犬の吠え声や咬傷事故、
猫のフン尿といった問題……。
法律上は「物」であるペットをめぐるトラブルの具体的な事例を、
過去の裁判例を基に解説してくださいました。
(浅野明子先生)
地域猫や咬傷トラブル、所有権の問題、犬の吠え声への憂慮など、
パネリストを務めた相談員をはじめ、会場からも多くの質問がありました。
古くから暮らしている住民には分かってもらえても、
新たに住み始めた人からは理解してもらうのが難しいといった声も。
新たな住民も増えている昨今、
ご近所づきあいが希薄になっていることが
近隣トラブルを生みやすい状況を作りだしているようです。
裁判のような大ごとになる前に、
住民同士で解決できるよう、日ごろから良好な関係を築いておくことが、
人と動物との共生にも繋がると思いました。
(言うは易く行うは難し、ですが)
地域における人と動物との共生をめざし、今後とも、
「杉並どうぶつ相談員」が、推進のための一助になればと、
改めて考えさせられた講演会でした。
(写真は許諾を得て掲載しておりますが、明るさ不足で写りが悪くなりましたことをお詫びします。
個人情報保護の観点から、参加者の後姿が写る会場全体の写真の掲載は控えております)