コロナパンデミックで大規模な社会変動が起こる昨年初めあたりまでは、AIの導入で雇用はどう変わっていくかがずっとメディアで議論されてきた。
日本のメディアでは雇用消失の話はあまり好まれていない。アメリカでは執拗にこの話題が登場していた。人間のする仕事が機械やAIによって奪われて、どれだけの職業がこの世から消え去るのだろうか?という危機的試算が具体的になされてきた。
日本ではどうして雇用消失の話が好まれないのかというと、これはたぶんマスメディアで働く人たちが「これから食えなくなる職業」のリストのけっこう上の方に出てくるからです。
最新の統計では、民放TVは感染症の影響で大幅な収入減となっている。スポンサーである企業の収益が落ちているから、民放TVの人件費、制作費はさらに大幅な圧縮が予想される。
若者のテレビ離れ、活字離れも大きな影響を与えている。彼らはいわゆるTV番組に無関心で、スマホでYouTube動画やSNS動画で興味あるものだけを選んで見る。
だから、新聞、テレビ、広告代理店を就職先に考えている人は立ち止まって一考した方がいい。一般人がこの業界について知っている情報はこの業界経由でしか伝えられないのです。メディアにとって不利な情報をメディアは伝えないということです。
これまでも科学技術の進歩によって旧時代のシステムやそれに依存していた職業が消えるということは何度もあった。でも、今回のAIによる雇用の再編は規模と速度において歴史上類をみないものなのです。
コロナパンデミックによって、仕事の再編成は加速しそうな勢いだ。AIの恐ろしいところは、ゼロか100%の両極端であること。AIによって取って替わる仕事は、ある日突然にゼロになるということ。
それによって何十万人、何百万人もの人が短期間のうちに全員失業することになります。なんとかしないと大量の失業者が次々とさまざまな業界から出てきて、消費は冷え込み、市場は縮減し、税収は落ち、治安は悪化して社会そのものの活力が失われるのです。
コロナパンデミック後のこの5年、10年はほんとうに大変な時代になるのです。あまりにも急激な社会変化に我々はできる限りの準備と備えをしていかなければなりません。
その準備と備えのできない人にも国は生きていくだけの支援をしなくてはいけません。もはや自己責任では片付けられない国の責任と政策が必要なのです。