すずきせいこの「日々雑感」

政治や暮らし、孫のことから平和・原発問題まで“本音でしなやかに”・・・

“豆腐の上の原発”と「原発大国とモナリザ」

2014年10月05日 | 本・雑誌・映画

世界最大出力の東京電力柏崎刈羽原子力発電所を抱える新潟県にあっては、その再稼動について無関心ではいられません。新潟大学の立石雅昭名誉教授がまとめたブックレット『“豆腐の上の原発”を動かしてはならない』を読みました。この8月初版で、規制委員会がふりまくニセの「新・安全神話」で“豆腐の上の原発”を動かしてはならないことがしっかりと伝わってくる県民必読の書です。(にいがた自治体研究所発行 700円+税)

もう一冊はフランスと日本を行き来する工業デザイナーの竹原あき子さんの『原発大国とモナリザ』です。昨年11月初版で、この8月下旬に「黒岩たかひろML」で黒岩秩子さんから紹介があり、そのタイトルとともに興味深い内容なので直ぐに注文をと思いながら一ヶ月が経過しすっかり忘れていました。建築の友が8月上旬にフランスから帰国してまたフランスへ戻る合間を縫っての竹原あき子さんの講演を聴講、9月27日付けブログ「日々好日・・いちよう」
に書き込んでおり、早速ネットで注文しました。本書は「フランスのエネルギー戦略」というサブタイトルで、なぜフランスは原発をとめられないのか、ドイツに学んだエネルギー転換を女性工業デザイナーならではの視点でまとめています。(緑風出版 2200円+税)

2014105

ところであのモナリザと原発がどうして関係あるのかといえば、モナリザを筆頭とするルーブル収蔵の美術品を外国へ貸し出すことの見返りで、原子炉と核燃料ウランを売り使用済み燃料処理までをビジネスにしてゆくのがフランス政府の世界戦略だったというから驚きでした。そして日本企業と手を組んで中規模出力の原子炉を中国、アジア、アフリカ
近東まで輸出をもくろんできました。またフランス政府と世界最大の原子力産業のアレバ社は、ドイツ政府とシーメンス社の関係と同じで双方が原発を推進・・・、ところが2009年にドイツのシーメンス社は原発が利益にならないと判断して、アレバ社との契約違反賠償金を払ってアレバ社との合併から撤退をしました。

その2年後の福島第一原発事故でドイツ政府は、直後の3月15日に7基の稼働中原発をすべて止め、6月には原発からの完全撤退を決定しました。しかしフランス政府は、核燃料棒やMOX燃料(プルトニウムとの混合)があり、すぐに撤退することができません。原発大国といわれるフランスで、原発の危険性で再生可能エネルギーにも挑戦しはじめ、その思いがけない姿が現地取材から伝わってきました。

また竹原あき子さんは本書の「はじめに」「高木仁三郎氏にささげる」と、「おわり」に「フランスは被爆国ではないが、驚くほど放射能に敏感なところがある」と、そして「原発推進にしがみつく利権の構図を公表するフランスのメディアの健在ぶりを久しぶりに見た」とも・・・。そんなことで日本のメディアと閣僚らの鈍感さを、今朝のNHK日曜討論で垣間見る思いです。甘利経済再生大臣の原発再稼動に向け、原発リスクによる巨額の国費投入や使用済み核燃料処理などにはふれない経済一点張りを聴きながら、やはり安倍政権に早く終止符を打たねばと痛感です。(続く)