An interview with Simon Keenlyside
at Bayerischen Staatsoper July 2004
Part 4
歌曲
司会「あなたにとって、歌曲とは何ですか? 歌うのはドイツ歌曲だけですか? フランス語や英語のも歌われますか?」
サイモン「僕にとって、ドイツ語やフランス語の歌曲は人生そのものです。僕の人生を映し出す鏡のようなものです。今のところ、CDを録音したりする気になれません。そういう予定にはなってるけど、それは僕自身ではない。CDショップで僕の顔がついたCDを見るのはうんざりだし、そんなの意味ないことです。僕はその気になれば、2年に1回は自分でCDを作れるんです。今のところはブラームスの歌曲にぞっこんです。でも昨年は違いました。フーゴー・ヴォルフのメーリケ歌曲集("Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier")が好きでした。
なぜかって? これらは僕にとって恋人みたいなもの、個人的な悩みであり、子供が生まれた喜びのようなものです。そして僕にとっては常にそんな感じなんです…僕には、皆さんと同じように、人生の意味なんて分かりません。難しすぎるっていう以外に言い表せないんですけど、(※3)ほかに表現するすべがありません。
司会「だって英語の歌曲だってあるでしょう?」
サイモン「たくさんあります。よく聴きますし。」
司会「歌わないんですか?」
サイモン「歌わないです。」
司会「英語の歌も?」
サイモン「あんまり。僕の先生は始めっから僕にシューベルトやシューマンやブラームスやヴォルフやドビュッシー、フォーレにプーランクなどなどを教えました。
全部歌う時間はありませんでしたが。僕は最初に決めたんです。僕はヨーロッパ人。英国人じゃない。祖先をたどれば、ヨーロッパの血がミックスされている。
でもベンジャミン・ブリテンの作品では好きなのがあって、「ウィリアム・ブレイクの歌と格言(Songs and proverbs of William Blake)Op.74」のことですけれども、僕はブレイクの詩がすきなんです。でも、それ以外は、僕の歌手仲間がイギリスやアメリカの歌を歌うときは僕は「なんて美しいのだ!」と、美しいとは思うのだけれど、これは僕の歌じゃないとも思うんです。