私の小さな楽しみは髪の毛を洗うシャンプーを色々試すこと。新しいのが出ると踊る消費者になってしまう。一番髪に合っているのは、ラックスなんだけどいつも使っていると飽きてしまう。でもって、新しいシャンプーとリンスを3種類も買ってしまった。その中の一つは、薬草のような線香のような香りのするのがある。内心ちょっと失敗かもと思っていたので、とーちゃんに「使ってみなよ」と勧める。「そんなにいいの?」と聞くので「ちょっと薬草だか線香だかの臭いがするけどね」と言ったら「そんなの使ったら、ジジイ臭になっちゃうじゃないかよ」と反撃された。てことは、私が使うとババア臭ってことになるのかあ。でも、これなら洋ネコのウリに頭を爪とぎにされないだろうと思ったけど、逆にこのシャンプーを使うと、いつもよりひつこく爪とぎの餌食にされる。とーちゃんは、最近薄毛になりつつあるので、スーッとする育毛スプレーをつけているせいか、ウリは近寄らない。私のささやかな楽しみも、ウリにぶちこわされつつある。ネコ1ダースを飼っている友人に聞いたら、ウリの親ネコも同じらしい。なんで、そんなとこ似たんだよ…。
原稿の締切が近いので、日曜日は早く起きて仕事をしようと思い、土曜の夜は早く布団へ。私の願いはもろくも二匹のネコに、いつもぶっ壊される。深夜の秋の運動会と格闘技という演目が延々4時間近くも続き、どうにもこうにも手がつけられないほど、暴れまくっていた。とーちゃんも怒り、追いかけっこという名のリレーがはじまる。おやじ、必死こいてつかまえようとするが、二匹のヤンキー娘は逃げ足だけは早い。ボコンッ、ゴツンッとにぶーい音がするたびに「イテ~、ぶつけた。うっ!またぶつけた」と、おやじだけは障害物競走になっている。「やめときー、そのうち疲れて寝るでしょ」と私は起きる気が全くなかった。が、何時間たっても、部屋中を走り回り二匹は取っ組み合いをやめない。とうとう、私がぶちキレる。こういう時は、どんなに怒ってもムダなので、黙ったまま起きて、まず二匹をにらむ。ネコたちは、かーちゃんの怒りを察したかややビビる。台所に行って、タオルを水でぬらし絞ってくる。一匹ずつ、とっつかまえて全身をイヤがっても拭く。これをされると、ネコは体温が下がり毛ずくろいに懸命になるのだ。野良猫はムダなケンカをしないために、興奮すると毛ずくろいで自分を抑えるが、うちのネコはとことんおバカで、気が強いから最後のしめパンチが自分じゃないと気が済まないらしい。だから、なかなか終わらない。昼過ぎに起きてから、二匹に向かって「ファー」と親ネコが怒るようにふいてマネをしたら、二匹共目が点になっていた。それにしても、これほどネコにいじめられている飼い主というのもマヌケだとつくづく思う。