新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

英の麻疹流行は燃え上がるばかり(すでに昨年一年分越える)

2018-05-23 08:49:42 | 麻疹/はしか/Measles

UKの麻疹流行、炎上の勢いとまらず。

  • 今年2018年に入ってからの症例数、もうすでに昨年2017年一年分を越えたと報道。
  • 直近はウエストサセックス州の高校で兄弟から拡散。
  • MMRを2回接種していない人はリスクだから接種をと呼びかけ、キャッチアップクリニック開設。

先進国共通の悩みパターンですね。

現地にキャッチアップクリニック開設は、さすがだなあと思います。一方で、2回接種がまだの人はリスクだから受けて!と呼びかけねばならにほど、2回接種受けていない人がまとまった数いるらしいというのも浮き彫りになる現実。

https://www.express.co.uk/news/uk/963135/uk-measles-outbreak-vaccines-public-health-england

MEASLES OUTBREAK: UK on alert as doctors warn surge ALREADY worse than 2017

THE UK measles outbreak is already worse than last year's, medical experts have warned, with more cases confirmed during the first four-and-a-half months of this year than the entire of 2017.

PUBLISHED: 19:24, Mon, May 21, 2018|

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麻疹流行、なぜ沖縄なのか?ひとつの視点

2018-04-24 21:55:41 | 麻疹/はしか/Measles

麻疹の流行、すでに本州は尾張の国に入っている状況にて今さらですが、なぜ沖縄なのか・・・ これを考察する向きはあまり見かけませんので、ネット内の情報からいくつか思いついたことを独り言です。まあ、今回の騒動とは関連づけず、こんな事もある程度のことで。

1.都道府県別のワクチン接種率
厚生労働省の麻疹HP内、少しわかりにくい処にありますが、1期、2期別に毎年のワクチン接種率を地図で色分けしているページがあります。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/dl/170922-01.pdf

何気に眺めてみてはっと気が付くのは、沖縄県だけが、ピンクにも赤にもなったことがない!という事実。すなわち平成24年度以降で90%を超えたことがないことがわかります。沖縄と聞けば、感染症分野ではあの名門病院や輩出したすばらしき先生方のお顔が浮かんだりするのが外部の人間ではありますが、また別の現実もあるようです。

 

2.Peach CEOのインタビューから連想する好条件
 これ、飛行機オタクの人々には印象に残っていることと思いますが(渡航医学が好きな人って、隠れ飛行機オタク結構いるでしょ)、数年ぐらい以前、Peachアビエーションの井上CEOが取材のたびに繰り返し繰り返し言ってた”物語”があります。曰く、

台湾から(Peachに乗って)沖縄の美容院に髪切りに通う人々がいる!

で、こんなLCCの利用法は想定もしていなかった。Peachが新しい需要をどんどん掘り起こしイノベーションを起している・・・と続いて、あちこちのインタビューで繰り返されています。今でも、PeachHPの挨拶にちょっとだけ入っていたりします。
https://corporate.flypeach.com/about/

これは象徴的なことで、沖縄はアジア諸国から見て本州よりも1時間半所要時間が短く(往復で3時間)、インバウンド客にとって本州よりかなり気軽に来れるという条件があります。このCEOの会社、Peachの時刻表で見てみると、台北から日帰りで滞在できる時間は関西空港3時間、成田空港不可能、に対して那覇空港4時間40分。これなら、日帰りで美容院に行くこともグルメを楽しむことも出来ます(もちろん宿泊旅行でも滞在時間が長くとれます)。アジアの人々にとって、その敷居が(我々本州の人間が想像するより)はるかに低いのです。台湾だけじゃなく、たとえばタイのバンコクだってPeachの路線は那覇行きはあれど本州行きは無かったりします。

アジアからみた敷居の低さ、ワクチン接種率の低さ。今後の成りゆきを見てゆくうえで、視点のひとつにはなるでしょう。


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麻疹騒動、海外の教訓は・・・(ポルトガル)

2018-04-10 09:42:02 | 麻疹/はしか/Measles

沖縄の麻疹騒動、ひとりの観光客から・・・と、いろいろ教訓を蓄積してくれていますが、。
同時並行で海外で発生している麻疹騒動の状況も見てみましょう。

  • ポルトガル。北部ポルトを中心にこの2月からの合計で、105例。そのうち8割以上(!)の85例が医療従事者。
  • ポルトのサン・アントニオ病院がフォーカス。85例はここの医療従事者。15例がワクチン受けておらず、、、
  • 麻疹の抗体がなければ濃厚接触により10人中9人が感染し、ウイルスは空中や表面で2時間まで生存可能である。

医療従事者のワクチン未接種による感染、院内で燎原の火の如く拡大してしまうという教訓。しこれは日本でもしっかりしている処ではしっかりしていますが、再チェックが必要かもしれません。管理人は本職先の関西福祉大学で健康管理センター長なる辞令を毎年いただいているのですが、市民病院からしっかりした看護師さんが派遣され、頼りないセンター長(笑)をしっかり支えキチンとした仕事をしていただいています。看護学生全員の抗体価検査を滞りなく実施はもちろん、未接種者の呼び出しやら抗体価や接種記録を紛失した学生のフォローやら、実にきめ細かく頭が下がります。他所ではどうなっているのか(いや、うちだって頼りないセンター長だけならどうなっていたか:笑)。。。

http://outbreaknewstoday.com/portugal-measles-cases-top-100-eight-10-health-professionals-47590/
Portugal measles cases top 100, eight out 10 are health professionals

April 8, 2018
 
豪クイーンズランドでも
http://outbreaknewstoday.com/queensland-health-reports-five-measles-cases-recent-weeks-14026/
Queensland Health reports five measles cases in recent weeks
April 8, 2018

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麻疹ワクチンの効用は麻疹以外にも広汎に

2017-05-09 08:31:31 | 麻疹/はしか/Measles

疹に罹患すると、免疫能の低下が従来言われていたより長期、2~3年は続く。

だから、麻疹ワクチン接種で得られるメリットは麻疹予防にとどまらず、他に広汎におよび、呼吸器疾患や下痢で亡くなる率が10万あたり18⇒6に激減という報告。

 

http://www.huffingtonpost.com/2015/05/08/measles-vaccine-protection_n_7243424.html

 

The Measles Vaccine Can Protect Against Much More Than Measles, According To New Study


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米の麻疹流行一因はソマリア人

2017-05-02 08:31:48 | 麻疹/はしか/Measles

米で報道が絶えない麻疹騒動。ひとつの要因がソマリア人の流入らしいと報道。ワクチン接種呼びかけ

  • これまで24例発生しているなか、新たにHennepin Countyで3例発生、発生した3例はすべてソマリア系。10カ月~5歳の、ワクチン受けていない子供たち。これを受けてミネソタ保健当局とソマリア人コミュニティの代表者が会談。
  • ソマリア人コミュニティへのワクチン接種を加速。
  • ソマリア人のMMR接種率は42%しかない。非ソマリア人で89%
  • ソマリア人社会のなかで、ワクチン自閉症説が根強く信じ込まれており、当局は鋭意情報提供と説得にあたっている。

無政府状態の報道が記憶に新しいソマリア、ワクチン接種率も著しく低い集団間で麻疹の流行・・・いま、北朝鮮有事をめぐり連日報道が絶えないなか、かの国の崩壊で難民が10万人流入する試算があるなか、これは他山の石として記憶にとどめておくことなのかもしれません。

 

ソースはstartribune
http://www.startribune.com/3-new-measles-cases-reported-pushing-total-to-24-with-daycares-the-apparent-nexus/420514833/

With 3 more measles cases, Minnesota health officials engage with Somali community

All cases are still among Somali-American children in Hennepin County. A meeting Wednesday night tried to spread the word to get more kids vaccinated. 

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麻疹ワクチン接種率はEUでも寒い数字

2017-04-27 09:10:15 | 麻疹/はしか/Measles

麻疹についてProMED最新数字。

  • 話題に挙げられているのは米ミシガン・ミネソタ・スロバキア・ソマリア・欧州
  • 欧州ではイタリア・ルーマニア。
  • EUにおける麻疹ワクチン接種率。2回接種が(流行阻止できるとされる)95%を下回っているのが報告のあった23カ国中15カ国。1回目接種の時点で95%を下回っているのが報告のあった27カ国中12カ国。

今後も「先進国の麻疹問題」あちらでもこちらでもゲリラ的に出てくるのでしょう。

ソースはProMED
http://www.promedmail.org/post/4995241

 


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イタリアの麻疹騒動続報

2017-04-12 08:50:42 | 麻疹/はしか/Measles

イタリアで猛威をふるう麻疹騒動の続報。前回紹介した際にはローマ・ミラノ・フィレンチェと誰でも知ってる超メジャーな地名でしたが、その後ケースは4倍超4桁の大台、場所もマイナーな地方へ拡大、シシリー島まで。

  • 4月7日現在、1333例。うち131例が医療従事者。
  • 主たる発生はPiedmont, Lazio, Lombardy, Tuscany, Abruzzi and Sicily。

また、ルーマニアも炎上しており、こちらは4025例、死亡18例。

日本(および台湾・豪)ではここのところバリ島からの輸入例が目立っておりますが、ワクチン需給状況も、かつてほどではないにしても、かなり綱渡りですのでひやひやです。

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/measles-europe-romania-italy-hit-hardest-85666/
Measles in Europe: Romania and Italy hit hardest

April 10, 2017

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イタリアも麻疹が暴れて苦労中

2017-03-29 08:28:31 | 麻疹/はしか/Measles

ワクチン接種率が下がっているところに麻疹が流れ込んで暴れまわる・・・という、先進国でわりと共通して連続している事象。イタリアでは700例超とお悩み状態。

  • イタリアでは2017年にはいり最初の3カ月で700例の麻疹報告。2016年が1年間で844例だったので大幅ペースアップ。
  • 大部分は16-39歳の若年層で、チュラン、ローマ、ミラノ、フィレンチェなど都市住民。
  • 2年前には90%以上あったワクチン接種率は、現在85.3%まで落ちてきていて、WHOが流行阻止できるとする95%を大幅に下回っている。
  • 前回の麻疹大規模流行は2002年に起こっており、18000例発生、15例死亡という記録が残っている。

春休み中のいま、ローマやミラノやフィレンチェに旅行中の人々は多いと思います。先進国といえど、リスクは旅行社破たんだけじゃなくて(そういえばてるみクラブ破たんでローマの露頭に迷える人っているのだろうか)こういう事もあることは喚起すべきことでしょう。前回の麻疹輸入例はバリ島帰りでしたが、次はベッキオ橋やトレビの泉でもらってきた麻疹・・・なんて事にならねばよいのですが。

http://outbreaknewstoday.com/italy-reports-big-rise-measles-2017/
Italy reports big rise in measles in 2017

March 27, 2017
 

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麻疹が本気で暴れたらこうなるという話。今年に入って2100例!の”あの国”

2017-03-13 11:28:23 | 麻疹/はしか/Measles

昨年の関空大騒動以来、〇〇県で診断報道がちょくちょく現れてはの麻疹ですが、途上国で本気で大暴れしたらこうなるという報道。舞台はエボラ騒動で中心地となったひとつ、ギニアです。

  • ギニアで今年2017年に入って麻疹症例が2100例! 33県中17県で。
  • 地元病院N’Zérékoré Regional Hospital 医師の声。毎日毎日、合併症もつ麻疹重篤例が運ばれてくる。すでに当院の麻疹重篤例は53例に達し、その死亡率は適切な治療なければ15%になる。
  • NGOのALIMAがワクチンキャンペーン企画。

ものすごい数字ですね。医療機関も、情報も、不足するかの国では、EVDのときも感染症流行がどういう光景をもたらすかまざまざと見せつけてくれましたが、麻疹でもこのような数字になります。そして、その対策を担うのがNGOというのも、”あの頃”の既視感ですね。

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/guinea-measles-outbreak-2100-children-infected-since-january-14608/

Guinea measles outbreak: 2,100 children infected since January

March 11, 2017
 

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麻疹のマスギャザリング不意打ちは先進国共通の悩みに

2016-09-27 08:12:51 | 麻疹/はしか/Measles

麻疹排除国に認定されている先進国にある日突然、どこからかウイルスが持ち込まれてコンサートや空港を接点に拡大してしまう・・・という事象が、米国、日本に続いてUKでも社会を悩ませています。今回はウェールズのコンサート。

  • UKウェールズ。現場となったマスギャザリングはGreen Gathering festival in Chepstow.
  • さらに加えて7月からSwansea, Neath Port Talbot, Pembrokeshire and Powys and some cases are very close to the border of Ceredigionでも麻疹の発生が報告されている。
  • これらを受けて、当局はMMR接種の必要性をあらためて注意喚起している。イベントに参加する際にはMMR接種歴をちゃんと確認してからと。感染疑われたら受診する前にGPの指示をあおげと。ワクチン未接種の人がいると予想される公共の場所に行ったらいけない等々。

UKにおいても、MMRを確認せよ、ちゃんとやったか・・・と当局から発信されているのは、この国でさえもMMR接種済は「当たり前のこと」では必ずしもないということでしょうか。95%接種率が維持されれば社会への拡散が防げるとはいえども、その数字の確保は大変です。

これからはイベントのたびにアーティストにHPやSNSや電波でワクチン打ったかい?イェーイとよびかけてもらう必要があるでしょう。

現場となったgreen gathering festival
http://www.greengathering.org.uk/?doing_wp_cron=1474931471.1398019790649414062500

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/measles-outbreak-in-carmarthenshire-wales-37714/

Measles outbreak in Carmarthenshire, Wales

Posted by on September 25, 2016

 


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