新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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精神科領域における新型インフルエンザ対策(その4ー検討・準備すべきこと)

2008-08-03 09:52:53 | 論文/学会発表/著作

「精神科領域における新型インフルエンザ対策」
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0102/index.html
精神科治療学 23(7)908-911,2008 公開しています

(その4)
Ⅴ.今後検討・準備すべきこと<o:p></o:p>

1.スタッフ教育<o:p></o:p>

 新型インフルエンザパンデミックに備えて、その基本的知識、各施設にて患者発生時の訓練等の準備を行っておく必要がある。また、前述の如く、新型インフルエンザ感染により稼働可能なスタッフが減少する事態も想定せねばならず、職種を越えて代行が可能になるよう互いの職務内容にある程度精通しておく必要があると考えられる。<o:p></o:p>

2.装備<o:p></o:p>

 新型インフルエンザの発生に備えて、予め医療機関に常備すべき物品のリストアップがなされている4)。これらの装備類は通常の精神科臨床でなじみに少ないものも含まれるので、あらかじめ習熟が必要となる。<o:p></o:p>

3.食糧備蓄<o:p></o:p>

 一般家庭に対しても、流通がストップした場合も想定し、2週間分の食糧備蓄が呼びかけられている4)。精神科病院はもとより、居住型自立支援施設なども運営主体の責任において必要となってこよう。<o:p></o:p>

4.プレパンデミックワクチン<o:p></o:p>

 プレパンデミックワクチンは医療従事者などライフライン従事者に優先して接種されると明記されている4)。しかしながら、医療従事者内の優先順位など詳細まで記載されてはいない。直接、内科疾患を扱うわけではない等の理由により精神科医療関係者の優先順位が下位になる様なことが万が一にもあってはならず、前述のように、行動制御が難しく事態の理解が困難なケースを数多く抱える精神科医療現場はリスクが高いという事が正しく理解されるよう早期から大きな声で訴えてゆく必要があると考えられる。<o:p></o:p>

5.抗インフルエンザ薬備蓄<o:p></o:p>

 需給逼迫状況下、プレパンデミックワクチン同様、万が一にも精神科病院への供給優先順位が下がることはなることはあってはならないが、タミフル備蓄についても院内在庫の積み増しなどに早期から取り組んでゆく必要があると考えられる。また、欧米諸国を中心にタミフル耐性の報告も相次いでおり5)、リレンザ等も含めバランス良く備蓄してゆく必要がある。<o:p></o:p>

Ⅵ.さいごに<o:p></o:p>

 新型インフルエンザパンデミックにあたり、精神科医療現場はハイリスクな場になることが予想される一方で、それが世間一般から見えにくいというネックがある。われわれ精神科医療者が大きな声をあげ認識を求めてゆくと同時に、自助努力で出来る備えは速やかにすすめてゆく必要性を強調して筆をおきたい。<o:p></o:p>

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