風極の岬 えりも 法光寺住職の「善き人々に出逢う旅」

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双つの龍に出逢う~小泉淳作美術館を訪れて

2015-10-11 20:50:44 | 日記

10月10日 北海道は晴天
十勝晴れといわれる絶好のドライブ日和。
秋田から布教に来ていらっしゃるK老師を案内し、中札内美術村を訪問しました。
十勝の銘菓「六花亭」が、林の中に数棟の美術館を建て、多くの観光客が訪れている場所です。


素晴らしいロケーションの中で、とりわけ光を放っているのが、小泉淳作美術館。
拙僧の大好きな画家です。
政治家小泉策太郎の七男である淳作画伯は、山本丘人氏に師事し、東京芸術大学日本画科を1952年に卒業。
その後デザイナーや陶芸家として活動をされましたが、日本画家として花開いたのは1970年代です。
その才能に早くから注目し、密かに作品を買い集め、後援していたのが「六花亭」の社長さんでした。


広大な敷地を上手に使い、林の中に美術館やレストランを点在させている贅沢な空間。
初秋の風景の中で、ひと際落ち着くのが、この個人美術館です。

代表作である山の絵や、数種の野菜、牡丹の絵群。
最奥でにらみを利かせているのが、晩年の代表作、臨済宗建仁寺の天井に描かれた双龍の下図です。
閉館間際なので、特別にお願いして写真を撮ることができました。


2000年に建長寺の「曇龍図」を完成された次の年。
一つの龍はあちこちで描かれていると考えた画伯は、「双龍図」にとりかかります。
二つの龍が向き合っている、めづらしい絵柄です。
(中札内の元小学校の体育館で、これらの絵が完成されました)

こちらに伺う度に拙僧は、二つの龍の意味を考えます。
 ライバル同士がにらみあっている姿~切磋琢磨の象徴?
 おのれの中に眠るふたつの龍の可能性~真龍を目指せということか?
 自己の中にある二つの葛藤~真の自己をどうやって目覚めさせるか?
様々に楽しんで、考えます。
そして、画伯のお言葉を想いだすのです。
「美というのは、汚さや色々なものを含んでいる。
 心の奥に響くもの、それが本当の芸術。
 涙とともにパンをかじる中から、でてくるもの」

不遇の時代が長かったからこそのお言葉であると、胸をうちます。