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春はあけぼの から始まる、あの有名な枕草子第一段。
自然の情景を美しく描写するこの段は
千年経った今でも色焦る事はありませんね。
私も中学の頃の古文の授業で初めてふれた際に、
原文をそのまま読んでもすんなり情景が入ってきたのを思い出します。
ただ、ひとつだけ…、
最後の一文「白き灰がちになりてわろし。」だけはピンときませんでした。
その時は1000年前の人の感覚だから解らないのも仕方ないと
乱暴に納得していたような気がします。
それが解ったのは、つい数年前でした。
ふらっと立ち寄った本屋で枕草子の本を見つけ
なんとなくパラパラと立ち読みしたみたのですが…
何度か原文と現代語訳を読み返しているうちに
ふと気づいたのです。白い灰ばかりが「わろし」な意味を。
「そうか!この人、寒いのが好きなんだ。」
そう考えると、納得がいきました。
誰も炭を足さず白い灰ばかりとなった炭櫃は、
寒くない事の象徴であり、だから「わろし」なのかと。
なるほど、確かにこの段だけでも、
全ての季節が肌寒い時間帯をチョイスしておりますね。
古文は、直訳では意味が通じない事も、
「書いていない事を読む」事で理解できるようになるのだと、
改めて気付かされました。
それを意識して改めて枕草子を読んでみると
今までとまったく違った世界が見え始めました。
清少納言という1000年前に生きた人がそこには確かに居たのです。
昔の人も、私達の様に色んな事を思い、悩み、一喜一憂していた姿が
色を付けた様に、まざまざと見えてきて、なるほど、これは面白い!
枕草子を愛する人達が見ていた世界はコレだったのですね…
学生の頃は、古文なんて、将来 何の役にもたたなそうな事を
なぜ勉強しなければいけないのかと思っておりましたが…
それこそ、現代であっても
「書いていない事を読む」力は、様々な場面で必要とされますし、
和歌や俳句など日本文化の礎にその考えがある様に感じます。
その事に、あの頃、気付いていられれば…
と悔やまれる思いでいっぱいです。
そんな、当時の自分に送るつもりで、
書いていない事を読んでみた枕草子を四コマ漫画として意訳してみました。
多分に個人的主観な上、不勉強な点も多々あるとは思いますが、
お付き合い頂ければ幸いです。
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