「ロストクライムー閃光ー」
角川シネマ新宿にて。
原作・永瀬隼介「閃光」
脚本・長坂秀佳・伊藤俊也
監督・伊藤俊也
1968年12月10日に起きたかの有名な「三億円事件」(未解決)の謎に踏み込んだ「クライム・サスペンス」と言ったらいいのだろうか・・。
私が物心ついた頃にはすでに「超有名な過去の事件」になっていた「三億円強奪事件」・・。
子供心に、新たに起きた事件(といっても子供の知る範囲ですが)は次々と解決してゆくのに、なんであの「三億円事件」って、犯人が解らないんだろうな~??と、この事件に関するTVとかを見ると、子供のくせに何となくケツの座りが悪い感じがしていました。
しかし日本経済の高度成長と共に、小学生になった頃には「あれはもう解決しない事件」という認識が自分の中に出来上がっておりました。
以後、諸説紛々あったのでしょうが、大人になり、あの事件は「時効」となります・・。
日常の所持万端に忙殺される自分がこの事件に再び関心を持つきっかけとなったのが、2006年に公開された映画「初恋」(主演・宮崎あおい)です。
この「初恋」では、三億円強奪の白バイに乗った実行犯を宮崎あおいさんが演ずるという「ええっ!そうきたか・・!!」的な、「思い切った発想の転換」と「ほのかなラブ・ストーリー」、ラーメンに例えれば、「ダシ」と「返し」が絶妙のバランスで(笑)混ざり合ったという感じでした(どんな感じや(笑)!
『初恋』
え~、思い切り引っ張って、本作「ロストクライムー閃光ー」なのですが、単純に「映画としての面白さ」で言えば「初恋」にはかなわないと、私は思います。
しかし、作品を作るスタンスが本作と「初恋」では微妙に(というかかなり?)違っていると、思うわけです。
本作は“くくり”としては「クライム・サスペンス」に入るのでしょうか。
確かに、ストーリー随所で見られる拳銃による殺人シーンなどや、不必要とも思える濃厚なベッドシーンなどは「エンタメ」的要素充分でしょう。
しかし、伊藤監督(ひいては原作者の永瀬さん)以下この作品のスタッフ、キャストの皆さんの、「これだけは・・!」というような執念のようなものを私はこの映画から感じるのです。
作品がミステリーの要素もあり、これからご覧になられる方もいらっしゃるかと思いますので、ストーリーにはあまり触れませんが、
武田真治演ずる宮本の子供の頃の出来事や、夏八木勲演ずる緒方耕三の苦しみ、
かたせ梨乃演ずる「真山恭子」の存在。
滝口(奥田瑛二)と片桐(渡辺大)が命懸けで開けようとした真実の蓋。
捜査一係管理官・藤原(矢島健一)が滝口に言い放った「その名前は劇薬です。」という言葉・・。
確かに「映画の出来」或いは「作品の造り」という面から見ると、拳銃で撃たれるシーンひとつとっても、「これ火サス?土サス??」みたいな感じで、先に書きました“ベッド・シーン”も「え~っ!今どきこれはないだろう!?(T_T)」といった、突っ込みどころが随所にあります。
そうなのですが、『花いちもんめ』で千秋実を得て、アルツハイマー患者と、それを看護する家族の問題を20年以上も前に描き、『プライドー運命の瞬間ー』では津川雅彦を主役に東京裁判における東条英機を描き賛否両論の渦を巻き起こした「伊藤俊也監督」の作品であるが故、“ただでは、すまんぞ”なのだろうなぁ、という気がしています・・。
ひきばっち的満足度★★★☆
角川シネマ新宿にて。
原作・永瀬隼介「閃光」
脚本・長坂秀佳・伊藤俊也
監督・伊藤俊也
1968年12月10日に起きたかの有名な「三億円事件」(未解決)の謎に踏み込んだ「クライム・サスペンス」と言ったらいいのだろうか・・。
私が物心ついた頃にはすでに「超有名な過去の事件」になっていた「三億円強奪事件」・・。
子供心に、新たに起きた事件(といっても子供の知る範囲ですが)は次々と解決してゆくのに、なんであの「三億円事件」って、犯人が解らないんだろうな~??と、この事件に関するTVとかを見ると、子供のくせに何となくケツの座りが悪い感じがしていました。
しかし日本経済の高度成長と共に、小学生になった頃には「あれはもう解決しない事件」という認識が自分の中に出来上がっておりました。
以後、諸説紛々あったのでしょうが、大人になり、あの事件は「時効」となります・・。
日常の所持万端に忙殺される自分がこの事件に再び関心を持つきっかけとなったのが、2006年に公開された映画「初恋」(主演・宮崎あおい)です。
この「初恋」では、三億円強奪の白バイに乗った実行犯を宮崎あおいさんが演ずるという「ええっ!そうきたか・・!!」的な、「思い切った発想の転換」と「ほのかなラブ・ストーリー」、ラーメンに例えれば、「ダシ」と「返し」が絶妙のバランスで(笑)混ざり合ったという感じでした(どんな感じや(笑)!
『初恋』
え~、思い切り引っ張って、本作「ロストクライムー閃光ー」なのですが、単純に「映画としての面白さ」で言えば「初恋」にはかなわないと、私は思います。
しかし、作品を作るスタンスが本作と「初恋」では微妙に(というかかなり?)違っていると、思うわけです。
本作は“くくり”としては「クライム・サスペンス」に入るのでしょうか。
確かに、ストーリー随所で見られる拳銃による殺人シーンなどや、不必要とも思える濃厚なベッドシーンなどは「エンタメ」的要素充分でしょう。
しかし、伊藤監督(ひいては原作者の永瀬さん)以下この作品のスタッフ、キャストの皆さんの、「これだけは・・!」というような執念のようなものを私はこの映画から感じるのです。
作品がミステリーの要素もあり、これからご覧になられる方もいらっしゃるかと思いますので、ストーリーにはあまり触れませんが、
武田真治演ずる宮本の子供の頃の出来事や、夏八木勲演ずる緒方耕三の苦しみ、
かたせ梨乃演ずる「真山恭子」の存在。
滝口(奥田瑛二)と片桐(渡辺大)が命懸けで開けようとした真実の蓋。
捜査一係管理官・藤原(矢島健一)が滝口に言い放った「その名前は劇薬です。」という言葉・・。
確かに「映画の出来」或いは「作品の造り」という面から見ると、拳銃で撃たれるシーンひとつとっても、「これ火サス?土サス??」みたいな感じで、先に書きました“ベッド・シーン”も「え~っ!今どきこれはないだろう!?(T_T)」といった、突っ込みどころが随所にあります。
そうなのですが、『花いちもんめ』で千秋実を得て、アルツハイマー患者と、それを看護する家族の問題を20年以上も前に描き、『プライドー運命の瞬間ー』では津川雅彦を主役に東京裁判における東条英機を描き賛否両論の渦を巻き起こした「伊藤俊也監督」の作品であるが故、“ただでは、すまんぞ”なのだろうなぁ、という気がしています・・。
ひきばっち的満足度★★★☆