コンピュータ対人間の構図で話題を呼ぶ将棋電王戦ももう第3回なのだという。コンピュータ側の将棋の指し手は「電王手くん」というロボットアームで指されているというのも面白い。第1局に登場したプロ棋士は振り飛車党の新鋭菅井竜也五段。勝ち星が期待されたが、残念な結果となった。コンピュータソフトの「習甦」の開発者が和服で臨んでいるのが好感が持てた。将棋への敬意を感じる。ところが、この電王戦に事件が起こったわけである。その真相は。医大生・たきいです。
第2局に登場するのは、パフォーマンスで話題を呼ぶ人気棋士、佐藤紳哉六段である。NHK杯のインタビューは棋士っぽくないということでネット上で話題になった。
筆者の好きな棋士のひとりだ。しかし、その対戦ソフトに問題が生じたのだという。以下はニコニコ動画より引用だ。
>2013年11月に行われた「将棋電王トーナメント」が終了した1週間後に「第3回 将棋電王戦」で使用する将棋ソフト『やねうら王』が運営及び佐藤紳哉 六段の元へ提出されました。
しかし、提出された『やねうら王』は動作が非常に不安定であり、ある局面でフリーズしてしまう等の問題があるため、開発者である磯崎さんより「バグの修正」の要望がありました。これを受け、"棋力や指し手に影響を与える思考部には手を加えない"という事を条件に、動作を安定させるための修正を承諾し、修正されたソフトへと入れ替えを行いました。
その後、「修正されたソフトの指し手は以前とは別物であり、かなり強くなっている。」との指摘を佐藤紳哉 六段より受けました。
あらためて修正内容を開発者に確認したところ、「複数のバグを修正したが、その中に棋力に影響をもたらすバグがあり、それを修正したために、棋力が向上してしまった可能性が高い。」とのことでした。
運営としても予期せぬソフトのフリーズでイベントが中断することは望ましくなく、佐藤紳哉 六段および、日本将棋連盟と慎重に検討し修正された『やねうら王』にて対局を行うことにしました。
他の4対局と比べると、佐藤紳哉 六段の研究時間が短くなってしまうにも関わらず修正された『やねうら王』にて対局を行うことを承諾いただいた、佐藤紳哉 六段および、日本将棋連盟に感謝いたします。
(ニコニコ動画より引用)<
なるほど。いわば「待った」の申し出があったということだ。人間にとって、過去の誤りを訂正しようとする「待った」は禁じ手である。潔さを感じないし、電王戦トーナメントに出場していた他のソフトにも失礼であろう。しかし、これはそんな単純な問題ではないのではないかとふと思った。
コンピュータ、さらには科学の進歩は日進月歩である。因みに医学もこれまた同じである。皮肉なことにこれらは、戦争が起きるとその進歩の加速度が急上昇するのだという。何となれば倫理感が欠如したからに他ならない。科学の進歩それ自体は暴力的なのだ。科学を扱ううえで、常に倫理を伴わせなければならない。1955年のラッセル・アインシュタイン宣言で同じことが述べられている。
将棋とは日本の伝統文化である。棋士の勝負への潔さがあり、芸術的な棋士の盤面の技術が光る。将棋はプロとアマとの技術の差が最も離れている競技である、とは昔から言われていたようだが、それだけプロ棋士の偉大さは尊敬に値するのである。そうした領域にコンピュータがここまで追いついてきたのはすごいことだ。そのうちこんな日が来るのかもしれないとは思っていたが、もっと先のことかと思っていた。
コンピュータの評価関数を軸にして、無味乾燥な感じで指し手を選ぶコンピュータ。現代科学の表象のような存在である。これからの躍進にも期待している。ただ、その隣には常に倫理観やヒューマニズムがなければならない。でなければ「人間」は掠疵を負いうる蓋然への恐怖と戦わなければならないのだ。科学で人間が不幸になってはならない。今こそラッセル・アインシュタイン宣言を見直すときではないか。科学の進歩によって人間の生活が幸福になるためには、監視が必要なのである。
(サトシンガンバレ\(^o^)/と本気で思う人!)
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