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2022.09.21(水)環境問題報道から 温暖化:森林火災

2022-10-07 21:21:04 | 保健環境
2022.09.21(水)環境問題報道から 温暖化:森林火災

<オーストラリア森林火災>成層圏大気に影響
・ピナツボ火山噴火に匹敵
 3年前、オーストラリアで大規模な森林火災が発生。
そのときの煙が成層圏と呼ばれる上層大気にまで達し、長期にわたって漂うことで、
南半球の気候に影響を与えたことが、ドイツのライプニッツ対流圏研究所などの国際研究グループによって明らかになった。
成層圏に達した煙は、オゾン層破壊にもかかわった可能性があるという。

・2019~20年にかけてのオーストラリアの森林火災は、日本の面積の約半分にあたる約18万平方キロメートルを焼き尽くした。
地球温暖化による乾燥や気温上昇などが要因とされ、
人命が失われたり建物が燃えたりしたほか、コアラをはじめとしたオーストラリア固有の動植物の多くが死ぬなどの被害をもたらした。

・地表の気温低下
 特に、19年12月29日~20年1月4日は、この時の森林火災のピークといわれ、
「ブラックサマー」の別名で呼ばれているほど。
ブラックサマーの最中、あちこちで森林火災によって暖められた空気が上昇する「火災積乱雲」が発生した。
発生した火災積乱雲の数は38。
空気とともに、森林火災で発生した煤(すす)などの粒子を含む煙は、
エレベーターの10倍の速度で上空へ運ばれ、成層圏にまで達した。

・研究グループは、ブラックサマーが成層圏にどのような影響をもたらしたか調べた。
 その結果、煤などの粒子約100万トンを含む煙が大気中に放出され、
オーストラリア上空約15キロメートルにある成層圏最下部に達し、
成層圏内に広がったことがわかった。

・成層圏内に広がった煙は、直径約1000キロメートル、高さ5キロメートルの渦となり、2週間かけて南太平洋上空を東に横断。
南米大陸の先端に1週間以上とどまり、その後、10週間かけて地球の周りを6万6000キロメートル以上移動した。
この渦によって、火災で発生した煤は、成層圏内の高度35キロメートルまで運ばれたようだ。

・地表で発生した粒子がこの高度まで運ばれるのは、1991年に20世紀最大といわれる大噴火を起こしたフィリピンのピナツボ火山以来だという。
この噴火では、噴出物から生成した硫酸エアロゾル粒子が成層圏内に長期に存在したため、地表の気温が下がるなどの影響が現れた。
ブラックサマーで発生し成層圏内に広がった煙の観測データをもとにコンピューターシミュレーションを行った結果、
成層圏内では温度が上昇し、地表では温度が低下したことが示された。
このような変化は1年半にわたって続いたとみられます。

・オゾン層を破壊
 煙が成層圏内に広がるのに合わせるかのように、北極と南極の上空で記録破りのオゾン層破壊が起こったことが極地の観測で判明。
北極では、20年の3~4月に中央部に非常に強力なオゾンホールが形成された。
南極では20年と21年の9~11月に、さらに極端なオゾンホールが形成されたという。

・これらのオゾンホールが形成されたとき、北極と南極上空の成層圏内には煙が大量に漂っていたことが観測されている。
特に、南極上空ではオゾン層が最も破壊された高度14~25キロメートルの層と、
大量の煙が漂っていた10~26キロメートルの層が重なっており、両者の間に明確な対応関係がみられた。

・ライプニッツ対流圏研究所のケビン・オーナイザー博士は
「森林火災で発生した煙が極域上空の成層圏内を漂うことで深刻なオゾン層破壊につながったのではないか」
という。

・ブラックサマーで発生した煤などの煙が成層圏内に広がることで、
気候だけでなくオゾン層にも深刻な影響を及ぼす可能性があることがわかった。
しかし、これまでの気候モデルでは森林火災で成層圏内に達する煙について過小評価されてきた。
同研究所のイナ・テーゲン教授は「気候モデルが森林火災の大気への影響を適切に処理できるようにすることがますます重要になっている」と
強調した。

・研究結果は、欧州地球科学連合誌『アトモスフェリック・ケミストリー・アンド・フィジックス』(6月9日付)に掲載された。

・対流圏と成層圏
 地球の大気はいくつかの層に分かれ、人間が生活する地表から上空十数キロメートルぐらいまでを対流圏と呼ぶ。
対流圏では、空気の対流が活発で雲ができたり雨が降ったりという気象現象が起こる。
火災によって暖められた空気の上昇が対流圏内にとどまるのであれば、
煙に含まれている煤などの粒子は数日から数週間で雨に洗い流される。

・しかし、対流圏の上、高度50キロメートルまでの成層圏では、強い対流は起こっていない。
このため、いったん、暖められた空気が対流圏を突き抜け成層圏に入り込むと、
煙に含まれている粒子は長期にわたって成層圏内を漂う可能性がある。

・成層圏内を漂う煤などの粒子は、太陽の光を吸収して成層圏内の温度を上昇させる一方、
太陽光を遮(さえぎ)ることで地表の温度を冷却する働きがあるため、
地球の気候に影響を及ぼす可能性がある。
以上
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