キララは目を真ん丸くしていました。だって、右みても左みても白いけむりがモクモク下の方から立ち昇って来るんですもの。
薄くなったり濃くなったりしながら、煙といっしょに人形や牛車、ビニールの端がちょっと剥がれて、ヒラヒラした蒔絵のタンスなど色んなお道具も舞い上がって来ました。そう、七段飾りの雛人形一式です。組み立てるのに、あんまり場所をとるので、毎年キララとお母さんは人形たちに謝っていました。こめんね、今年も出してあげられなくてと。
でも、もう頭を悩ませなくていいね。だって、こぅんなに広いお空があって、好きなとき組み立てて眺められるんだもの。そんな声が下の方から色んなものと一緒に上がって来ます。
あ、お母さんだ お母さんが送ってくれたんだぁ! ありがとね。お母さん
わたしがこっちへ来たもんだから、お母さん、処分に困っていたお人形とかポロのぬいぐるみなどを塩とお酒で清めてから、燃えるゴミの日に出してくれたんだよね。ほんとは自分で焼却したかったけど、街中じゃ、そうもいかないしね。
きれいな煙にのって、お母さん、確かに届いたよ。今度、飾ってみるから、お母さんにも見えるといいな。ううん、ここじゃ心と心でお喋りするから、ワタシが飾ったよって伝えるから、お母さんは心で感じてね。それがワタシたちのコミュニケーションなの。
そして、お母さんもこっちへ来たらまた会おうね。その日が少しずつ近づいているから、楽しみだよね。
こっちで、また家族四人で暮らすのも悪くないよ。
宇宙って、こうぅんなにキラキラしているよ