症状
潜行性発症。
両側性であるが必ずしも左右対称ではない。
初期:軽度の運動失調と後肢の不全麻痺。前肢は罹患しない。
飼い主は、関節炎を疑って、この臨床症状の発症後数カ月経過してから、検査のために来院してくることが多い。
後肢の肢端のナックリングとスカッフィング:最も一般的に認められる。
後肢の交叉と動揺:症例が旋回している時に生じる。
排尿と排便:この疾患では末期になるまで自発性の制御は維持されている。
尾側腰背筋と後肢筋:この疾患の後期に廃用性萎縮を起こすことが多い。
痛みと不快感:明らかではない。
神経学的検査所見
障害は後肢に限定される。
運動失調と上位運動ニューロン性不全麻痺:T3‐L3の脊髄分節に局在する。
プロプリオセプションの障害:初期段階では、観察される軽度の不全麻痺から予想する以上に悪い。非対称的となる場合がある。
屈曲反射:正常か亢進。症例によっては交叉伸展反射が認められる。
肛門括約筋の緊張、会陰反射および尾の緊張:正常。
膝蓋腱反射:たいていは正常か亢進するが、症例の中には膝蓋腱反射が片側性ないし両側性に低下するか消失するものがある。これは、背根神経節あるいは脊髄背側灰白質の変性に起因する。腹側運動神経根は罹患しないので、この徴候によって真の下位運動ニューロン徴候ではなく、変性性脊髄症が示唆される。
痛覚:保持されている。
好発品種
最も一般的な罹患:ジャーマン・シェパードとジャーマン・シェパード交雑種。
他の大型犬と中型犬は時に罹患する:コリーとコリー交雑種、ラブラドール・レトリーバー、シベリアン・ハスキー、チェサピーク・ベイ・レトリーバー、ケリー・ブルー・テリアおよびウェルシュ・コーギー。
平均年齢と範囲
発症時の平均年齢:9.6歳。
範囲:4~14歳。
ジャーマン・シェパード:6カ月齢と7カ月齢の、2症例の報告がある。
原因
スーパーオキシディスムターゼ遺伝子の異常:ジャーマン・シェパード、ジャーマン・シェパード交雑種、およびシベリアン・ハスキー。
大正動物医療センター 06-6551-5106
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