残念ながら、3月19日のコラムで紹介させて戴いた「ご主人の命を救った猫」のミミちゃんが23日の午後11時過ぎ、眠るように亡くなりました。あまりにも早い死でした。
病名は慢性腎不全と乳腺癌ですが、ご主人が入院されてからミミちゃんは殆ど食べ物を受け付けなくなり、奥様の手厚い看護、通院や半日入院などの治療もむなしく急激に衰弱が進んでいました。最期は殆ど寝たきりの状態でしたが、エレベーターの前でご主人の帰りを待つのは、亡くなる日の2日前まで続けていたそうです。
奥様によると、ミミちゃんは人の言葉をかなり理解していたようです。ご親戚の方からの電話にも受話器を耳にあててあげると話が終わるまでちゃんと聞いていたそうです。また初めての来客の方にも奥様が親しく話される方には近づいて行って話を聞いているそうですが、セールスマンなどには威嚇をしていたそうです。
実は、奥様自身も身体を悪くされていて、医者にはすぐに入院をするようにずっと言われているのですが、ミミちゃんの看病があるので、入院を延ばしていたそうです。
ミミちゃんはその話を聞いていて、奥様の負担を少なくしようと自ら死を選んだのかも知れません。
ご主人にはミミちゃんが亡くなったことは知らせられていません。
ご主人は病院でミミちゃんの写真を見ながら、ミミちゃんに早く会いたい一心で闘病生活を続けておられます。
退院されるまでは内緒にされるでしょう。
伴侶動物を亡くしたときの失意は経験された方なら理解できると思いますが、中でもミミちゃんのような、あまりにも利口で飼主との意志の疎通ができる伴侶動物を亡くした時の気持ちは言葉では言い表せません。(私もたくさんの動物を飼ってきましたが、ミミちゃんによく似た賢い猫を飼っていた経験があります)
ミミちゃんのご冥福とお二人の御快癒を心からお祈り致します。
大正動物医療センター http://www.taisho.animal-clinic.jp/