症状
頻尿(一般的)。 有痛性排尿障害。 排尿時の尿の流速や流径が減少したり、全く排尿がみられないこともある。
肉眼的な血尿。
完全(あるいはほぼ完全)な尿路閉塞によって尿毒症にまで発展した場合の徴候。元気消沈、態度は倦怠的、食欲減退、嘔吐。
過度な(異常に大きく、膨隆した)、あるいは不自然な(排尿行動後にも拡張したまま)、触診可能な拡張を呈する膀胱。
閉塞を示す雄犬では、しばしば尿道において尿路結石が触知される。
時として、慢性の部分的尿管閉塞の動物で、特に病変が片側性の場合には、触知可能な腎肥大が認められることがある。
深刻な尿毒症の徴候:脱水、虚弱、低体温、中等度の高カリウム血症を伴った徐脈、浅速呼吸の増加、昏迷あるいは昏睡、末期には痙攣発作が起こり、重度の高カリウム血症によって心室性の律動異常が起こり頻脈となる。
排泄路穿孔の徴候:尿が腹腔内へ漏出した場合は、腹部の疼痛と膨満。尿が尿道周囲へ漏出した場合は、尿道傷害部の位置によって骨盤腔あるいは会陰組織で疼痛と腫脹が起こる。また発熱を伴う。
原因
管腔内の原因
尿石、猫の尿道栓子、血液凝塊および脱落組織片などの固形ないし半固形状構造物。
尿路閉塞が最も一般的に起こる部位は尿道。
尿石は、雄犬では尿道閉塞の最も一般的な原因。
雄猫では尿道栓子が尿道閉塞の最も一般的な原因。
管壁内の原因
膀胱頸部あるいは尿道の腫瘍が、特に犬では尿路閉塞の最も一般的な原因。
犬の尿道では、時に化膿性肉芽腫性炎症性の病変が認められることがある。
以前に傷害を受けた部位や炎症が存在した部位の線維化は、狭窄を引き起こし、この部位が尿の流れを妨げたり、管腔内の組織崩壊物の堆積部となる。
雄犬の前立腺疾患。
筋肉組織の水腫、出血、あるいは痙攣が管腔内閉塞(例、尿道閉塞)の部位で起こり、これが管腔内の閉塞物質を除去した後に持続性ないし再発性の尿流妨害を起こす。閉塞物質、閉塞物質除去のための操作による傷害、あるいはその双方による傷害によって組織の変化が生じる。
排泄路の破裂、裂傷あるいは穿孔は、通常外傷によって引き起こされる。
その他の原因
膀胱が会陰ヘルニア内へ変位した場合。
神経性の原因(「尿遺残、機能的」の項を参照)。
危険因子
尿石症、特に雄。
猫の下部尿路疾患、特に雄。
雄犬における前立腺疾患。
大正動物医療センター 06-6551-5106