大正動物医療センター(大阪市大正区)のブログ

大阪にある大正動物医療センターのブログ

鼻咽頭ポリープ

2009-12-30 16:48:30 | ペット

鼻咽頭ポリープは1歳以下の猫で発生することが多い

病因は解明されていないが、ポリープは一般的に耳管の内膜から発生し、耳道や後鼻腔に向かって、酷いときは3~4cmまで成長する

症状は、吸気時に大きな呼吸性雑音を呈する。鼻汁は見られない

診断は麻酔下で肉眼的に確認する

治療は、鼓室胞骨切り術で完全切除を行うか、軟口蓋に位置するポリープは牽引して切除する。但し、後者は簡単ではあるが2年以内に半数ほどが再手術を必要とする

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逆くしゃみ

2009-12-30 11:15:08 | ペット

逆くしゃみは多くの若齢から中齢犬に起こる

原因として一番に挙げられるのは環境刺激に対するアレルギー性反応による後鼻孔の炎症である。その他鼻道内の異物、ダニ、腫瘍、アスペルギルス感染も含まれる

確定診断をするには内視鏡で後鼻孔を観察、組織生検を行う。アレルギーの場合はリンパ球及びプラズマ細胞浸潤が見られる

治療としては、原因の除去、抗ヒスタミン、ステロイドの内服、吸入を行う

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アレルギー性皮膚炎

2009-12-28 18:29:58 | ペット

アレルギー性皮膚炎とつきあうには

 

アレルギー疾患治療の目標は根治ではなく、現在の症状を50%以下に抑え、維持すること。

IgE検査に因ってアレルギーとの診断は出来ないが、環境や食事を管理するための有益な情報を得られる。

症状別に、より効果的な食事の見直し、シャンプー、日常の手入れ、投薬による治療等で改善が可能。

 

治療

 

ステロイド

 

症状悪化時は3日間程連用する。但し、アトピー性皮膚炎に対して使用できる全身性ステロイドの量は1回につき0.5mg/kg年間60回、月にすると5回が限度と考えたほうが良い。

メチルプレドニゾロンにすると多飲多食を避けることができ、容量も80%にすることができる。

 

減感作療法

 

症状を部分或いは完全寛解に導くことができる唯一の治療法

減感作薬は個人輸入しなければならない

まれに副作用としてアナフィラキシーショック、発赤、嘔吐、下痢、痒みを起こす

 

環境抗原対策

 

シャンプー(保湿シャンプー)

 

直接シャンプー液は身体に付けずに、スポンジでよく泡立ててから全身に擦り込むように塗布する

泡を擦り込んだ後に、濡れたタオルでくるみ、5~10分間そのまま薬液が浸み込むまで待つ

人肌以下のぬるま湯で丁寧によくすすぐ。特に指間は1本づつ丁寧に行う。

吸水性のたかいスポンジタオルで水分を吸うように拭く。綿花にIgE陽性の場合はコットンタオルは避ける

ドライヤーの冷風で乾燥させる

 

ドライワイプ

 

吸塵性・多孔性の不織布(クイックルワイパーなど)で乾拭きする

皮毛に付着した環境抗原を皮膚に到達する前に除去することができる

毎日の習慣にすることで飼主とのコミュニケーションや病変の観察に役立つ

ハウスダストマイト陽性の場合は拭き掃除の後の掃除機の使用の徹底とクッション、枕などの排除とカバーの使用を行う

 

食事抗原対策

 

抗原除外食を最低1ヶ月は続ける

必須脂肪酸を与える

ブタクサに陽性の場合はキュウリ、メロン、スイカなどのウリ科の食物は避ける

ゴキブリ陽性の場合は海老や蟹などの甲殻類にも気をつける

ペニシリウム陽性の場合はペニシリン系抗生物質を避ける

 

二次感染対策

 

二次感染がコントロールされていれば痒みは現状の50%以下に抑えることができる

オーグメンチン1020mg/kg BIDまたはセファレキシン2040mg/kg BIDを3週間投与した後、週に2日間連続で通常量を投与することで再発予防と長期コントロールが耐性菌の心配をしなくて可能

 

マラセチアにはケトコナゾール5~10mg/kg SID~BID連用、またはイトラコナゾール5mg/kgSIDを2日連投、5日休薬を1クールとし3クール毎に判定する。ケトコナゾールとイベルメクチンやシクロスポリンを併用する場合は肝障害を効率に引き起こすので、塩酸テルビナフェン30mg/kgSIDを使用したほうが安全(但し高価)

 

苔癬化病変や糜爛潰瘍病変には抗炎症効果と皮膚再構築効果を期待して周辺に免疫抑制剤のタクロリムスを塗布する

 

免疫療法

 

シクロスポリンA5mg/kg SID ~4週間の連続投与は慢性化した病変に効果がある。副作用は軽度な消化器症状。

 

インターフェロンγは急性から亜急性に効果、5000~10000U/kgを週2~3回投与を4周間、次の4週間は週に1回投与。有効率70%。副作用は稀で重大な副作用は報告されていない。

 

その他の薬

 

ロイコトルエン抑制薬としてZileuton 0.55mg/kg TID 6週間投与で発赤の減少。

 

ペントキシフィリンは組織への炎症細胞の移行を抑制させる。接触性アレルギー性皮膚炎、アトピー、血管炎、免疫介在性の症例に対し25mg/kg BID

 

フルオキシチニンはセロトニン再取り込み阻害薬で犬の指端氏舐性皮膚炎に有効、1mg/kg

 

ミソプロストールは皮膚における遅延型反応を抑制させる。慢性アトピー、膿皮症、蕁麻疹に使う。5μg/kg BID-TID。下痢することがある。

 

ロキシスロマイシン(マクロライド系抗生物質)3~5mg/kg BID 3週間連続投与 慢性再発性ブドウ球菌性膿皮症に対して表皮免疫調節作用がある。

 

抗ヒスタミンは25~50%の犬にしか効果ない

大正動物医療センター 06-6551-5106  

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前立腺疾患

2009-12-11 18:34:20 | ペット

前立腺の解剖

前立腺とは、オス犬の唯一の副生殖腺で精子の運動能力を活発にする精液を分泌する、生殖機能にかかわる組織である。
 前立腺は、膀胱頚部に二葉性に尿道を囲むように存在し、前背側は腹膜に腹側は脂肪に覆われ、背側は繊維性組織で直腸に付着している。また前立腺への血管神経は全て背側から分布している。(因って手術時は背側の分離は行わない) 

前立腺疾患

6、7歳以上の、特に去勢していないオス犬が血尿、排尿障害、排便障害を起こした場合、前立腺肥大、前立腺嚢胞、前立腺膿瘍などの前立腺の病気を患っている可能性が高くなる(ただし、前立腺腫瘍の場合、去勢の有無と関係なく発症する)。
 前立腺肥大とは、前立腺組織の過形成のこと。前立腺嚢胞とは、前立腺肥大が進行して、組織内にすき間ができ、そこに体液や血液がたまる症状。また、前立腺膿瘍とは、前立腺嚢胞からさらに状態が悪化したもので、感染症を起こして化膿し、膿がたまるものをいう。

前立腺疾患の原因(腫瘍以外)

 オス犬が老齢期に入り、精子生殖機能が衰えてくると、活躍の場が減少した精巣ホルモンの作用によって、前立腺組織の過形成(肥大)が引き起こされる。

前立腺疾患の症状

 前立腺肥大になれば、その中心を通過する尿道が圧迫されは排尿困難となる。無理に排尿しようとすれば、尿道や前立腺周辺の毛細血管を傷つけて出血することもある(結果、血尿となる)。また、排尿障害で常に膀胱内に尿がたまった状態となれば、膀胱炎にもなりやすい。排尿障害が持続すれば腎後性の尿毒症を引き起こす。
 そのほか、前立腺肥大が進行すれば、前立腺の背側を通る直腸を圧迫して、排便障害を起こす。そのうえ、通常、骨盤腔内に位置する前立腺が、肥大化して骨盤腔外(会陰部方向)に飛び出し、会陰ヘルニアを引き起こすこともある。
 これら前立腺疾患は、早ければ3歳すぎで発症する犬もいるが、一般に発症のピークは7~9歳ごろである。
  

前立腺疾患の治療

前立腺肥大には、外科的治療法と内科的治療法がある。内科的治療法では、精巣ホルモンの働きを抑制する黄体ホルモン剤を投与する。しかし、薬剤の効果は100%ではないし、ホルモン剤の投与を中断すれば再発する。

酢酸クロルマジノンの内服錠剤を(2mg/kg SID)投与するか、同薬のジースインプラント製剤を皮下に埋め込むことで前立腺のサイズは2分の1に縮小する。インプラント剤の効果は1~2年持続するが効果発現に時間がかかるので、効果発現するまでの間、錠剤を使用する。

確実な治療法は、去勢して、肥大化の要因となる精巣ホルモンを分泌する睾丸を取り除く外科的治療法である。前立腺肥大の初期段階であれば、去勢するだけで前立腺組織は3分の1程に収縮する。
 もっとも、症状が悪化して、前立腺嚢胞や前立腺膿瘍になれば、去勢しただけでは治療効果はほとんどない。抗炎症剤(CM.CLDM,ST,ENR,EMなどを6週間以上)を投与しつつ、経皮的に嚢胞や膿瘍を吸引、洗浄した後、95%エタノールやティーツリーオイルを注入する方法がある。

 前立腺摘出手術も時には行われるが前立腺の周辺には膀胱や尿道の排尿機能にかかわる神経や血管があり、手術の難易度が高い。そのため、手術時にそれらの神経や血管を傷つけてしまい、膀胱の働きが損なわれて尿のたれ流し状態に陥る恐れが大きいといえる。 なお、前立腺腫瘍の場合、悪性度が高く、腸骨下リンパ節を経て椎骨転移や肺転移をしているケースが多いため、前立腺摘出や抗癌剤投与をしても予後不良に終わることが多い。

大正動物医療センター 06-6551-5106  

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食道疾患

2009-12-03 16:25:23 | 吐き気や嘔吐

食道の解剖と機能の特性

上部食道括約筋:逆流と誤嚥を防ぐ機能

下部食道括約筋:胃内容物の逆流を防ぐ

犬:横紋筋 猫:下部1/2は平滑筋

粘膜、粘膜下織、筋層、外膜の四層構造 漿膜が無い

迷走神経とその側枝神経(舌咽、咽頭、反回)が分布、

脳幹及び自律神経からの食道神経支配、

食道感覚受容器からの求心性神経支配が行われている

食道疾患

症状

吐出、嚥下障害、嚥下痛、唾液過多

進行により誤嚥性肺炎(粘液濃性鼻汁、肺音異常、発熱、咳)

原因疾患

先天性(巨大食道、輪状喉頭部機能不全、血管輪による閉塞)

急性 (異物、麻酔による胃食道逆流・嘔吐・腐食性化学物質・

    投薬「特に猫のドキシサイクリン」等による食道炎)

慢性(裂孔ヘルニア、食道狭窄、腫瘍、

     重症筋無力症・多発性神経炎・アジソン病・甲状腺機能低下症・自律神経失調症・鉛中毒・特発性による巨大食道

診断

X-RAY(造影)、内視鏡、CK上昇(筋炎)、蛋白尿(免疫介在性疾患)

CBC異常(アジソン、免疫介在性疾患、鉛中毒、肺炎)、

電解質異常・ACTH負荷試験(アジソン)

テンシロンTESTAch抗体(重症筋無力症)

内科治療

粘膜保護剤  スクラルファート懸濁液(0.51g PO  q8h)

胃運動亢進  モサプリド(0.251.0mg PO  q12h)

胃酸分泌抑制 ラニチジン(1.02.0mg PO q12h)

       オメプラゾール(0.72.0mg PO  q12h)

特異的治療

重症筋無力症 ピリドスチグミン(1.03.0mg PO  8q12h)

   ネオスチグミン(0.04mg IM  q6h)

 4~6週間毎に抗体価測定 寛解までの期間112ヶ月以上

アジソン病  コルチコステロイドとミネラルコルチコイド

自律神経障害 ベサメコール

異物除去や狭窄 内視鏡下にてバルーン拡張術を1~2週間毎に数回実施

        施術後ステロイドや抗生剤を使用する

外科治療

穿孔、内視鏡で取れない異物、狭窄に適応

粘膜・粘膜下織と筋層・外膜を夫々2~3mm間隔で4-0 PDSにて二層縫合する

結び目は食道腔側に出す

長軸方向への伸縮性が乏しいため部分切除は30%が限界

胸骨舌骨筋、肋間筋、横隔膜、心膜、大網フラップにより被覆可能

胸部食道では側副循環は期待できないので術後の血液供給は不十分

大網と漿膜が無いために他の消化管のようなフィブリンによる早期被覆

修復が生じにくい

食道自体の運動性、伸縮、唾液の流入などによる癒合不全が起きやすい

食事療法

低脂肪・高蛋白食を少量頻回与える

巨大食道症、体重減少や重症例では胃チューブを設置し投薬も

そこから行う

一時的な対応であれば高栄養輸液も有効である

予後

原因により様々だが誤嚥性肺炎や穿孔を起こすと非常に悪い

大正動物医療センター 06-6551-5106  

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