田舎で暮らしてます。 (My country life!)

都会の喧騒を離れ、北関東の田舎で可愛いペット達と暮らし始めた中年夫婦の日記です。

命のカウントダウン

2012-07-08 07:51:58 | 体と健康
腰痛から始まった検査入院は、前立腺がんの発見となり1カ月の入院生活から自宅療養、そして放射線治療も済ませた。内分泌治療の効果だろうか、腰や大腿骨への痛みが殆どなくなっており全く普通の生活に戻っている。6月4日に職場復帰してから、あっという間に1カ月が経ってしまっていた。癌の告知をされた時には、余命については明確な説明がなかったのだが家族には残り2年もないかもしれないと知らされていたようである。長生きできるとは思っていなかったものの、2年弱というのは予想外であった。退院後の体調から判断しても、あと5年や10年は生きられると勝手に思い込んでいたのだが、担当医の意見は異なっていたようである。数日前に妻から真相を聞かされた時には流石に驚かざるをえなかったが、あまりとりみだすことなく冷静に受け止めていた。思えば、昨年亡くなった義母について、癌を本人に隠すのは良くないと感じていたのだが、まさかこんな短期間に癌の告知が自分ごとになるとは想像だにしなかった。身内に癌で亡くなった叔父や叔母が殆どいなかったこともあり、自分が癌になることは正直あまり考えていなかった。両親が脳梗塞で倒れ、長期入院の後で亡くなっていたので、高血圧や脳梗塞については注意をはらっていた。塩辛いものが苦手だったこともあり、食生活で言えば関西や西日本などのうす味の料理を好んでいたせいもあり、血圧が高くなることはなかった。まさか癌の告知をうけるとは考えてもいなかった。しかも早期発見ではなく、前立腺がんは骨への転移がすすんでおり除去手術などの物理的な治療はできない段階にきているようである。あとは、体の中の癌がこれ以上の悪さをしないようにホルモン治療などをすすめるようである。転移部分での痛みは全くない訳ではないが、幸いにも前立腺そのものでは殆ど自覚症状がない。ときどきではあるが、歩いた時に左足の関節に軽い痛みを感じる程度である。退院時に悩まされた痛みどめの薬の副作用による便秘も解消されているようで辛い思いをしないですんでいる。いくつかの薬のおかげで毎日を普通に過ごすことができている。この国の医療水準に感謝である。
さて、カウントダウンの話しであるが末期がんで余命を知らされることでもなければ、人は自分の死後について深く考えることは少ないようである。平均寿命が年々伸びている日本では、60歳はまだ若いと誰もがおもっていても不思議ではない。昨日は会社の同僚が実の母親がなくなったと淡々と語っていた。彼の母親は99歳だったそうである。最近はテレビやラジオなどの報道でも独り身の老人が生きている間に自分の葬式の準備を始めているなどという番組が目立つようになった。身寄りのない人たちは、家族がいる場合と異なり、そういったことに関心が強くなるのであろう。過去40年近く収め続けた掛け金をとりもどすのは難しいい状況となってしまった。こうなったら、意地でも年金をもらってやろうと思う。息子の大学生活も始まったばかりである。父親としての責任がある、せめて卒業までは親として金銭的な支援をしなければならないだろう。残念ながら今の職場では高収入は望めない。入社した際の契約年俸は2回も引き下げられた。少ない仕送りで、息子は苦学生として勉強に励んでいる。親が裕福で仕送りがたくさんあるという学生は少ないのであろうが、我が家の場合は明らかに平均以下である。つい最近、生活費を送金する際にも金の工面ができず息子には大きな迷惑をかけてしまった。その時聞いたのは、お昼の食事も節約して菓子パン一個ですませているという話である。妻は息子と話しながら、携帯電話を手に涙をこぼしていた。惨めな学生生活をさせて申し訳ないと息子に心の中で謝っていた。女はこんなとき泣けるから良い。男は悲しくても泣くことができない。父親としての弱さを見せてはならないとまでは言わないが、このときは冷静さを装っていた。幸いにも奨学金を申請していたのが、最近一時審査を通過したと妻から聞いている。社会人になってから返済しなければならない奨学金ではあるが、奨学金がでればアルバイトに明け暮れることなく、学業に専念できるであろう。大学では法律の勉強以外にも、演劇部に所属して活動しているようでお金はないなりに頑張っているようである。少しでも多く仕送りができるように、田舎に住む妻と二人の生活費も節約しなければならない。そうは言いながら、妻は菓子類を買ってきては間食を続けるが、これを止めることもせずに自分も一緒になって菓子を食べている。自己嫌悪に陥ってしまう。お腹をすかしている息子のことを考えれば、自重すべき行動であろうことは承知している。なぜか体が甘いものを欲しているようである。間食をしているのだが妻の体重は増えても、自分の体重は一向に増えないようである。残り少ない人生、有意義にすごさなければとは思うが人間そんな簡単に生き方をかえられるものではないようだ。命のカウントダウンが始まっていてもである。