老け役をやらしたらピカイチの“ハリウッドの笠智衆”ことモーガン・フリーマンの出世作。公開当時53歳だったフリーマンが本作品で老ドライバーを演じているのだが、白髪まじりのチリチリヘアや腰の曲がった歩き方など、当時80歳のジェシカ・ダンディとの年齢差をほとんど感じさせない見事な役作り。デイジー(ダンディ)の息子役で登場していたダン・エイクロイドは老けメイクに明らかな違和感があったことを考えると、“いつ見てもおじいちゃん”のフリーマンとはやはり年季が違うような気がする。
車の運転が苦手な母親デイジーの為に、製綿工場を営む息子ブーリー(エイクロイド)がドライバーとしてホーク(フリーマン)を雇い入れる。人種差別が色濃く残っている50年代のアメリカ南部を背景に、ユダヤ系とアフリカ系という被差別民族の老人同士が、時代の流れとともに心を通じ合わせていくヒューマンドラマだ。老いを認めたくないという老人の見栄が邪魔してはじめはホークを敬遠していたデイジーだが、年齢を重ねるに従い、お互いをかけがえのない友人として認めていく過程がとてもイイ感じに描かれている。
ドライブ旅行の休憩中にホークを呼び止め「ユダヤの婆さんと黒人の運転手か。いいコンビだな」と揶揄する警官。DSの白人専用トイレに入れずデイジーの制止を無視して用足しのため路上停車させるホーク。「恐ろしいのは光の子(心ある白人)の沈黙と無関心だ」というキング牧師の演説シーンなどがさりげなく挿入されており、人種差別に対する静かな抗議を発している1本でもある。どちらかを死なせて強制終了なんてヤボなエンディングでもなく、それでいてカタルシスを感じさせるラストシーンが素晴らしい。
ドライビング・ミス・デイジー
監督 ブルース・ベレスフォード(1989年)
〔オススメ度 〕
車の運転が苦手な母親デイジーの為に、製綿工場を営む息子ブーリー(エイクロイド)がドライバーとしてホーク(フリーマン)を雇い入れる。人種差別が色濃く残っている50年代のアメリカ南部を背景に、ユダヤ系とアフリカ系という被差別民族の老人同士が、時代の流れとともに心を通じ合わせていくヒューマンドラマだ。老いを認めたくないという老人の見栄が邪魔してはじめはホークを敬遠していたデイジーだが、年齢を重ねるに従い、お互いをかけがえのない友人として認めていく過程がとてもイイ感じに描かれている。
ドライブ旅行の休憩中にホークを呼び止め「ユダヤの婆さんと黒人の運転手か。いいコンビだな」と揶揄する警官。DSの白人専用トイレに入れずデイジーの制止を無視して用足しのため路上停車させるホーク。「恐ろしいのは光の子(心ある白人)の沈黙と無関心だ」というキング牧師の演説シーンなどがさりげなく挿入されており、人種差別に対する静かな抗議を発している1本でもある。どちらかを死なせて強制終了なんてヤボなエンディングでもなく、それでいてカタルシスを感じさせるラストシーンが素晴らしい。
ドライビング・ミス・デイジー
監督 ブルース・ベレスフォード(1989年)
〔オススメ度 〕