私は言語聴覚士として訪問でリハビリをする仕事をしています。
昨日、失語症の方の所へ伺うと、奥さんが、
「今日はもしルールが大丈夫なら青空教室でお願いできますか?」と言われ、ご自宅から少し離れたところに案内してくださいました。
そこは大きな民家の軒下でした。簾が降りていてほど良い光が差し込んでいます。
品の良いテーブルと椅子。センスの良い小物。美しい観葉植物が置かれています。
どこかアジアでもヨーロッパでもない異国情緒を感じます。
猫と犬が寛いでいます。
なんとなくジブリの世界観に近い雰囲気です。そう時間の流れがゆっくりとしたあの感じです。
そこは地域の老夫婦のお宅です。
ご利用者が散歩をしていると猫が案内してくれたと。
そして直ぐに溶け込み天気の良い日はふらっと立ち寄るのだとか。
昨日も天気がよく訓練を忘れて何時間でも滞在できる空気感でした。
するとご利用者が「ここで訓練やった方がいっぱい言葉出るかもな。」と言われました。
私はハッとしました。
訓練なんて概念は忘れた方が良いのでした。
言葉は機械的に出すモノではなく、環境や相手に依存して、感情と織り混ざりながら出てくるモノです。
訓練と構えて出てきた言葉はある意味本物の言葉ではありません。
昨日はゆったりとした軒下の空間でたわいもない楽しい話が出来ました。
1番良い訓練になったのかもしれません。
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