この本は行動経済学を日常に落とし込み、分かり易く書かれています。
人間は合理的な判断ができない。
複雑な感情や深層心理が絡み合い行動している事が解説してあります。
特に気になった3つを紹介します。
①『ナッジ』
選択を禁じる事も、インセンティブを大きく変えることもなく、予測できる形で人々の行動を、修正する仕掛けや手法
例)男性トイレに虫のシールを貼るだけで、尿溢れが減少する
居酒屋メニューで“店長おすすめ”と書くだけで、選択を促す
ECサイトで購入後にメルマガを受け取ると初期設定してあり、あえて拒否をしない限りメルマガ会員になる
家庭エネルギー報告書をフィードバックすることで省エネ効果があがる
消費カロリーを提示するだけで意欲が湧き運動を促進できる
人間は心理的バイアスに選択を左右されている。目の前の誘惑に負けたり、十分に検討せず軽率な買物をしたり、現状維持にこだわることもあります。
このように人間は不完全なものであることを認めたうえで、もしバイアスがなければ選んだであろう、より良く、より正しい行動を取るように勧めるのがナッジ
②『クラウディングアウト』
外発的モチベーションによって内発的モチベーションが阻害されてしまう
例)清掃ボランティアで集まった人達に安価な謝礼を払うと払う前より丁寧な清掃はできず、人も集まらなくなる
③『解釈レベル理論』
時間の変化につれて判断や評価が変わる心理的バイアス
人々は時間的に遠い対象に対しては、より抽象的・本質的・特徴的な点に注目し、逆に時間的に近い対象に対しては、より具体的・表面的な点に注目する
例)旅行に行くと決め、まだ先の時は美しい景色や美味しい食事などを思い浮かべるが、旅行が近づくと持ち物や待ち合わせ場所などが気になるようになる。
直ぐに10,000円もらえるのと、半年後に10,500円もらえるのとでは直ぐに10,000円もらうのを選ぶ人が多い。
→住宅ローンや保険はこの理論を利用している
言われれば気付きますが、言われないと自然と行動しています。
商売をする方は当然勉強が必要な学問ですが、消費者も知っていると失敗が減り、納得のいく行動がとれると思いました。