私は訪問してリハビリを提供する仕事をしています。
今日は60歳、男性のご利用者の担当者会議でした。
担当者会議とは介護保険サービスを提供している事業者、本人、家族が集まり、ケアプランの確認を行う会議です。
その方は脳梗塞を発症して2年が経過されています。
右片麻痺と失語症が残存していますが、1人で日常生活動作はほぼ自立されており、
コミュニケーションもゆっくりであれば会話ができます。
身体リハビリは通所リハビリで行い、
言語のリハビリを私が訪問で担当させていただいています。
司会のケアマネジャーが奥さんに意見を求められました。
奥さんは「おかげで安定した生活が送れています。主人が落ち込まずに前向きにリハビリを頑張ってくれているのが嬉しい。
現状維持がいいです。ようやく現状維持と言えるようになりました。」と言われ少し涙ぐまれていました。
旦那さんが急に発症して、奥さんもショックがあったでしょう。
大変な介護やケアも行われて、現状の安定した生活が送れている事に安堵し、今後再発や怪我などがないよう希望を込めて現状維持と言われたのだと感じました。
次にケアマネジャーは本人に意見を求めました。
本人は「もっと良くなると思っていたけど、これくらいでした。しかし、現状維持ではなくもっと良くなりたい。」と言われました。
本人は落ち込んだ様子を妻に見せないように必死にリハビリを頑張られています。
現状は上手く身体を動かしたり、スムーズに話すことができないので現状維持では困ると言われたのだと推測できます。
命があり前向きに生活できている現状の維持を希望された奥さん。
まだ障がいが残存している現状を打開したい本人。
同じ現状維持という言葉でも、今あるモノにフォーカスするとポジティブになり、
今ないモノにフォーカスすると少しネガティブな意味になります。
どうしても本人は回復に意識が向いて現状でできる事に目を向けることができないことがあります。
そして限りある人生=時間をリハビリや機能回復に費やし過ぎる方もおられます。
しかし、このご夫婦は奥さんが現状に感謝されているので心配ないです。
現によくお二人で外出をされ楽しい時間を過ごされています。
目標や成長も大切ですが、現状への感謝の気持ちがベースに必要だと思います😊