古来の技法から見た創作を求めて竹島まで修行に来た人がいる
規則正しい織の世界から
「崩せ、曲げろ、歪めろ」
なんて言われても、
こんな事、これ織物なの?
竹島まで習いに来て早くも一年が経つ彼女には
”常識ほどつまらぬ物はない”
と言うが
それって異常じゃん
足元を見れば布草鞋を履いている
「それって良いね」
「良いでしょう」
「旅行に行った時買って来たのよ」
「俺も欲しいな」
二人にとって極めて常識な会話が交わされている間も
織機にはねじり曲げられた糸が彼女を表現していた。
彼女がねじり曲がっているのではないぞ!