2013年6月28日。
6月26日早朝。前日の朝チリ北部の街カラマに着き、その足でチュキカマタ銅山の視察ツアーに参加した僕。一度見てみたかったチュキカマタに足を運べてゴキゲンな僕は、意気揚々と次の目的地、ボリビアはウユニに向けて出発の準備をしていた。
チケットは前日に購入。バスの出発時間は朝6時。集合時間は15分前ということで、ちょっと早めに5時30分過ぎにバスターミナルに到着した。
そこに一枚の張り紙。スペイン語なのでサッパリ分からないが、何人かの現地人の方がざわついている。
嫌な予感がする・・・。
張り紙の文章の中に、「サスペンド」の文字。スペイン語と英語は似ている単語もあるので、ある程度意味が分かることもある。
サスペンド・・・サスペンドだと?
張り紙一枚残しておくだけで、こんな朝早くに集めておいて、バスが来ねぇだと?
こっちはしっかり金も払ってんだぞ!ふざけんな!
でもここは南米。よくある話ではあるんです。
張り紙一枚残しておいて、バスが来ませんなんて…日本じゃ絶対考えられないですよね。
しかし困った…。もうカラマは十分満喫したし、ここで黙ってまた一泊…なんて、絶対したくねぇ。
もちろん周りに日本人など誰もいない。いや、日本人はおろか、英語が通じる人すらもいない。
追い込まれた僕。
いや、何か手があるはずだ。他にもウユニに行くバスはないのか?
焦りと同時に、僕の闘争心に火が付き始めた。
ふと右の方を見ると、何やら人が集まっている。どうやらそこにもバスが来るようだ。
とりあえず近くに人に話してみる。
すると、なんと!どうやらこのバスも、ボリビア行きのようじゃないか!
しかし当然、チケットは前売り。かなりの数の人が並んでいる。いや、でも全部埋まってはいないはずだ。
僕は決心した。「よし、このバスに飛び乗ってやる!」
やがてバスが到着。チケットもないくせに、誰よりも早くバスに飛び乗る。ここが勝負だ。
チケットを確認するおばちゃんに、通じないと分かっていてもとりあえず英語で説明をする。すると事情を分かっていたのか、34番の座席に座れと言ってくれた。
よっしゃあ!俺の勝ちだぜ!
僕は34番の座席を陣取る。
次々と席が埋まっていく。しかしどうやら僕と同じく「飛び乗り組」も多数いるようで、みんな早い者勝ちで席を取っていく。そして全ての座席があっという間に埋まってしまった。
窓の外には、バスに乗れなかった現地の人達が立ちすくんでいる。どうやら僕と同じ状況の人も多いようだ。
ここは南米、弱肉強食。時には図々しく動かないと、全てが奪い取れられてしまうのだ。
果たしてこのまま出発してくれるのか?内心ドキドキしながら、何故かそのその危機感にワクワクもしてくる。自分の戦闘力が上がって来るのを感じる。
そしてバスが出発!よし、勝った!
しかしまだ戦いは残っている。やがてこのおばちゃんはチケットの確認に来るはずだ。僕が持っているのは他のバス会社のチケット。間違いなく拒否される。
さらに僕は、もうチリを出ることが分かっていたので、もうチリペソを使いきっていた。持っているお金はアメリカドルのみ。支払はアメリカドルでするしかない。果たしてそれが通じるのか?
やがておばちゃんがやって来た。一人一人、チケットの確認をしていく。飛び乗り組からは、その場でお金を徴収している。
やがて僕のところへやって来た。
僕は、またしても通じないと分かっていながら英語で説明をする。そして、おばちゃんが理解していないと分かっていながら、僕は当然のようにアメリカドルを出した。
するとおばちゃんは、はぁ?とちょっと呆れた顔をして、僕に話しかけてくる。おそらく「チリペソはないのか?」と言っているのだろう。しかし僕は、他の会社のチケットとアメリカドルを差し出して、「俺はむしろバスが急に来なくなった被害者だ。これで何とかしろ!」的な雰囲気を出して、おばちゃんを説得した。
するとやがておばちゃんは呆れ果て、僕を素通りした。
どうやら僕から金を徴収することを諦めたようだ。よっしゃあ、完全勝利!ざまーみやがれ!
でもさ、俺はちゃんと金払ってんだぜ、本当は。いきなり朝になってバスが来ないとかいう、あっちのバス会社が悪いんだぜ。だから違う会社のチケットでも、飛び乗ったっていいじゃないか。少なくとも、チケットも無いのに当日来て乗ろうとしている人達よりは、俺の方が乗る権利があるはずだ。
まぁ普通に考えれば他社のバスなんだから、そりゃお金は払わないといけない…ですよね。しかし、ここは南米。理不尽に素直に応じていたら、こっちが完全に食われかねない。おばちゃんには申し訳ないけど、僕は僕自身に正論を押し付けて、そのままバスを乗り継いでウユニに向かった。
さすがにちょっと心苦しかったのとおばちゃんを味方に付けるため、パスポートチェックのためにバスを降りるとき、「グラシアス」と一言言いながら、おばちゃんのポケットに少しだけ残っていたチリペソを入れた。
よし、アフターフォローも完璧。マジで勝利だぜ!(笑)
バスの旅は戦闘力も上げてくれる。だからバスは面白い。だから旅は面白い。
外には、ただひたすらに荒涼としたアタカマ砂漠が広がっている。しかし「ふじもん in trouble バスの旅」がこの後もすぐやって来るとは、この時は思いもしなかった・・・。
2013年6月28日。ボリビアのイメージとはかなり異なる街、サンタクルスにて。
6月26日早朝。前日の朝チリ北部の街カラマに着き、その足でチュキカマタ銅山の視察ツアーに参加した僕。一度見てみたかったチュキカマタに足を運べてゴキゲンな僕は、意気揚々と次の目的地、ボリビアはウユニに向けて出発の準備をしていた。
チケットは前日に購入。バスの出発時間は朝6時。集合時間は15分前ということで、ちょっと早めに5時30分過ぎにバスターミナルに到着した。
そこに一枚の張り紙。スペイン語なのでサッパリ分からないが、何人かの現地人の方がざわついている。
嫌な予感がする・・・。
張り紙の文章の中に、「サスペンド」の文字。スペイン語と英語は似ている単語もあるので、ある程度意味が分かることもある。
サスペンド・・・サスペンドだと?
張り紙一枚残しておくだけで、こんな朝早くに集めておいて、バスが来ねぇだと?
こっちはしっかり金も払ってんだぞ!ふざけんな!
でもここは南米。よくある話ではあるんです。
張り紙一枚残しておいて、バスが来ませんなんて…日本じゃ絶対考えられないですよね。
しかし困った…。もうカラマは十分満喫したし、ここで黙ってまた一泊…なんて、絶対したくねぇ。
もちろん周りに日本人など誰もいない。いや、日本人はおろか、英語が通じる人すらもいない。
追い込まれた僕。
いや、何か手があるはずだ。他にもウユニに行くバスはないのか?
焦りと同時に、僕の闘争心に火が付き始めた。
ふと右の方を見ると、何やら人が集まっている。どうやらそこにもバスが来るようだ。
とりあえず近くに人に話してみる。
すると、なんと!どうやらこのバスも、ボリビア行きのようじゃないか!
しかし当然、チケットは前売り。かなりの数の人が並んでいる。いや、でも全部埋まってはいないはずだ。
僕は決心した。「よし、このバスに飛び乗ってやる!」
やがてバスが到着。チケットもないくせに、誰よりも早くバスに飛び乗る。ここが勝負だ。
チケットを確認するおばちゃんに、通じないと分かっていてもとりあえず英語で説明をする。すると事情を分かっていたのか、34番の座席に座れと言ってくれた。
よっしゃあ!俺の勝ちだぜ!
僕は34番の座席を陣取る。
次々と席が埋まっていく。しかしどうやら僕と同じく「飛び乗り組」も多数いるようで、みんな早い者勝ちで席を取っていく。そして全ての座席があっという間に埋まってしまった。
窓の外には、バスに乗れなかった現地の人達が立ちすくんでいる。どうやら僕と同じ状況の人も多いようだ。
ここは南米、弱肉強食。時には図々しく動かないと、全てが奪い取れられてしまうのだ。
果たしてこのまま出発してくれるのか?内心ドキドキしながら、何故かそのその危機感にワクワクもしてくる。自分の戦闘力が上がって来るのを感じる。
そしてバスが出発!よし、勝った!
しかしまだ戦いは残っている。やがてこのおばちゃんはチケットの確認に来るはずだ。僕が持っているのは他のバス会社のチケット。間違いなく拒否される。
さらに僕は、もうチリを出ることが分かっていたので、もうチリペソを使いきっていた。持っているお金はアメリカドルのみ。支払はアメリカドルでするしかない。果たしてそれが通じるのか?
やがておばちゃんがやって来た。一人一人、チケットの確認をしていく。飛び乗り組からは、その場でお金を徴収している。
やがて僕のところへやって来た。
僕は、またしても通じないと分かっていながら英語で説明をする。そして、おばちゃんが理解していないと分かっていながら、僕は当然のようにアメリカドルを出した。
するとおばちゃんは、はぁ?とちょっと呆れた顔をして、僕に話しかけてくる。おそらく「チリペソはないのか?」と言っているのだろう。しかし僕は、他の会社のチケットとアメリカドルを差し出して、「俺はむしろバスが急に来なくなった被害者だ。これで何とかしろ!」的な雰囲気を出して、おばちゃんを説得した。
するとやがておばちゃんは呆れ果て、僕を素通りした。
どうやら僕から金を徴収することを諦めたようだ。よっしゃあ、完全勝利!ざまーみやがれ!
でもさ、俺はちゃんと金払ってんだぜ、本当は。いきなり朝になってバスが来ないとかいう、あっちのバス会社が悪いんだぜ。だから違う会社のチケットでも、飛び乗ったっていいじゃないか。少なくとも、チケットも無いのに当日来て乗ろうとしている人達よりは、俺の方が乗る権利があるはずだ。
まぁ普通に考えれば他社のバスなんだから、そりゃお金は払わないといけない…ですよね。しかし、ここは南米。理不尽に素直に応じていたら、こっちが完全に食われかねない。おばちゃんには申し訳ないけど、僕は僕自身に正論を押し付けて、そのままバスを乗り継いでウユニに向かった。
さすがにちょっと心苦しかったのとおばちゃんを味方に付けるため、パスポートチェックのためにバスを降りるとき、「グラシアス」と一言言いながら、おばちゃんのポケットに少しだけ残っていたチリペソを入れた。
よし、アフターフォローも完璧。マジで勝利だぜ!(笑)
バスの旅は戦闘力も上げてくれる。だからバスは面白い。だから旅は面白い。
外には、ただひたすらに荒涼としたアタカマ砂漠が広がっている。しかし「ふじもん in trouble バスの旅」がこの後もすぐやって来るとは、この時は思いもしなかった・・・。
2013年6月28日。ボリビアのイメージとはかなり異なる街、サンタクルスにて。
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