世界中から熱苦しく・・・「ふじもん世界放学ブログ」

元「変な学校先生」私ふじもんが、ただ今世界を駆け巡っています!世界の今と僕の魂をお届けしますので、ぜひお読み下さ~い!

【第1章 南米編 「福島原発事故」南米の人々からの教え】

2013-07-28 18:37:02 | 日記
2013年7月28日。

南米諸国の人々は、総じて日本人に対して良い印象を持ってくれている。今僕がいるベネズエラでも同様だ。各地で何人ものベネズエラ人と話をしてきたが、みんな日本に好印象を持ってくれているだけでなく、日本の文化や政治、経済にまでも興味を持ってくれている。特に、マルガリータ島に向かうフェリーの中で知り合ったホセくんは日本のことを絶賛していて、午前2時発のフェリーだというのに眠る時間も与えてくれないくらい質問攻めが続いた(笑)。

ちなみにこのホセくんとは、マルガリータ島に向かうフェリーの出るプエルト・ラ・クルスという街まで同じバスに乗っていたのだが、フェリーターミナルが分からなくて困っている僕を手を引いて教えてくれた、心優しい青年だ。彼がいなかったら、僕は間違いなくプエルト・ラ・クルスでけっこう困っていたに違いない。

そんなホセくんだけでなく、日本人の勤勉性や真面目な態度、礼儀正しさなどは、本当に南米で評価されている。日本企業の活躍や日本の製品を見て、ホセくんなどは日本を絶賛していたし、日本のアニメも大好きだと言っていた。ちなみにブラジルのマナウスでは、「セイントセイヤ」や「ドラゴンボール」を日本語で大声で熱唱する熱い日本通のブラジル人もいた、しかも路上で…!

さて、そんな南米諸国を渡り歩いている中で、時々話題になった日本の出来事がある。それは、あの忌まわしき福島第一原発事故のことなのだ。

あの原発事故は、南米の人々にはどう映ったのか。もちろん僕は南米で原発事故についての調査を専門に行ってきたわけではないので、人々の総意が何なのか、言い切ることは当然できない。しかし、南米各地の人々との会話の中で、自然に出てきたその意見、考え方というのは、1つの価値があるのではないかと僕は思うのだ。

総じてまとめると、彼らは日本のことを心配してくれている。そして、なぜなかなか解決に至らないのか、疑問にも感じているようなのだ。

しかしその疑問の持ち方は、「おいおい、日本は何をやってんの?」というような否定的なものではなく、「あの日本でさえ解決できないような問題なのか…」といったような疑問の持ち方なのだ。つまり日本を否定しているのではなく、事故の問題とその大きさそのものに驚き、「日本をもってしてもダメなのか…」という感覚を持ってくれているようなのだ。

それは裏を返せば、それだけ日本が評価され、信頼されているということだとも言える。僕自身日本人としてそのことに喜びつつも、とても驚いてもいる。

こんな発言すら聞かれた。
「あれと同じことがブラジルで起きたら、ブラジルは潰れてるよ」
「日本だから、あれだけ落ち着いていられてるんだ」
「日本のテクノロジーをもってすれば、もう少しで解決できるよ」

いかに日本の評価が高いかが分かる。それはそれで、とても喜ばしいことである。

僕はここで、原発事故そのものについて考察したいわけではない。あの事故を通して、南米各地の人々は日本に対してどんな思いがあるのか、それを書き上げたいのだ。

彼らは色々な質問をしてくるが、その中には「ウチの国の政治や経済は全然ダメだけど、日本はみんなしっかりやってるんでしょ?日本の政治は本当に透明で、政治家もみんな国民のためを思って頑張っているよね?」というような内容も多い。僕はそれに対して、「いやいや、日本だって問題だらけだよ。国民は政治を信頼していないし、選挙の投票率だってすごい低いんだよ。国家財政も本当に苦しいんだから。」と返答する。

それを聞いて、彼らは驚くのだ。本当に日本に対して良いイメージを持ってくれている。

そんな状況を何度も繰り返していく中で、僕は悩む。


「日本とは一体、どんな国なのだろう。日本人とは一体、どんな人たちなのだろう。」と。

だって、僕たち日本人は、今自分たちの在り方を深く問われている。ともすれば、この国で生きていく明るい展望さえ失いかけている人もいるだろう。福島原発事故に関して言えば、絶望とも言える感覚をお持ちの日本人も少なくないであろう。そんな状況であるのに、地球の裏側からは「日本人ならエスタビエン!(大丈夫だよ!)」と、エールを送ってくれているのだ。

僕たちはこの状況を、どうとらえたらよいのであろう。

あの震災と原発事故を経て、僕たち日本人は、何が変わったのだろう。

今東北では、福島では、何が起きているのだろう。

何が本当の真実なのか。
何を追求すべきなのか。
何を調べるべきなのか。
僕たちは、今どうあるべきなのか。

窓の外には、眩いばかりのカリブの海が広がっている。まるで僕の自問を嘲笑うかのように…。

そして1つだけ、真実に気が付いた。こんなちっぽけな僕がいかに悩もうとも、この青いカリブ海と突き抜けるようなマルガリータの空には、何も関係ないということだ。そしてこの空には毎日日が登り、そしてこの海には毎日日が沈む。そのリズムだけは、毎日変わることはない。

ハイシーズンのマルガリータ島発のフェリーは、地元のベネズエラ人たちでごった返している。予想以上に満員で、フェリーの中は熱気ムンムンだ。僕を見ると「ヘイ、チノ!」と声をかけてくるが、「ノー、ハポネス!」と、そこはしっかり否定する(笑)。

そんなことを繰り返しながら、僕はフェリーの壁際の一席で、一人ペンをとっている。太陽は間もなく真上に差し掛かり、その存在感を知らしめている。まるで僕に「オマエみたいに悩んでばっかの日本人には、一発俺の灼熱ビームを喰らわしてやるぜ!」とでも言っているかのように…。

2013年7月28日。マルガリータ島からプエルト・ラ・クルスに向かう、熱気溢れるちょっと汚いフェリーにて。

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