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民事訴訟法-不服申し立て手続き-上訴-控訴-控訴審の判決

2014-01-23 21:03:27 | 民事訴訟法

控訴審の判決

    控訴却下

控訴の適法要件が欠けている場合(控訴期間経過後の控訴提起や公訴の利益が無い場合等)

(第一審裁判所による控訴の却下)

 第二百八十七条  控訴が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、第一審裁判所は、決定で、控訴を却下しなければならない。

  前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(口頭弁論を経ない控訴の却下)

 第二百九十条  控訴が不適法でその不備を補正することができないときは、控訴裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、控訴を却下することができる。

(控訴状の送達)

 第二百八十九条  

 第百三十七条の規定は、控訴状の送達をすることができない場合(控訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。

(呼出費用の予納がない場合の控訴の却下)

 第二百九十一条  控訴裁判所は、民事訴訟費用等に関する法律 の規定に従い当事者に対する期日の呼出しに必要な費用の予納を相当の期間を定めて控訴人に命じた場合において、その予納がないときは、決定で、控訴を却下することができる。

 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

 ②控訴棄却

控訴人の不服申し立てを理由無しとして原判決を維持するときには、控訴棄却の判決をする。

(控訴棄却)

 第三百二条  控訴裁判所は、第一審判決を相当とするときは、控訴を棄却しなければならない。

 第一審判決がその理由によれば不当である場合においても、他の理由により正当であるときは、控訴を棄却しなければならない。

 (例)原判決債権不成立と判断して請求を棄却→控訴審で債権の成立は認めた→弁済を認定した場合

(既判力の範囲)

 第百十四条

 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。

然し、理由の偏向が判決の効力に影響する場合、

(例)原判決では総裁の予備的抗弁により勝訴した被告が弁済等それ以外の主位的理由でも勝訴すると判断されたときは、控訴裁判所は原判決を取り消して改めて請求を棄却すべきである。

(控訴権の濫用に対する制裁)

 第三百三条  控訴裁判所は、前条第一項の規定により控訴を棄却する場合において、控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として控訴を提起したものと認めるときは、控訴人に対し、控訴の提起の手数料として納付すべき金額の十倍以下の金銭の納付を命ずることができる。

 前項の規定による裁判は、判決の主文に掲げなければならない。

 第一項の規定による裁判は、本案判決を変更する判決の言渡しにより、その効力を失う。

 上告裁判所は、上告を棄却する場合においても、第一項の規定による裁判を変更することができる。

 第百八十九条の規定は、第一項の規定による裁判について準用する。

 ③控訴認容

(第一審判決が不当な場合の取消し)

 第三百五条  控訴裁判所は、第一審判決を不当とするときは、これを取り消さなければならない。

(第一審の判決の手続が違法な場合の取消し)

 第三百六条  第一審の判決の手続が法律に違反したときは、控訴裁判所は、第一審判決を取り消さなければならない。

(事件の差戻し)

 第三百八条

 第一審裁判所における訴訟手続が法律に違反したことを理由として事件を差し戻したときは、その訴訟手続は、これによって取り消されたものとみなす。

 第三百七条  控訴裁判所は、訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。

 第三百八条  前条本文に規定する場合のほか、控訴裁判所が第一審判決を取り消す場合において、事件につき更に弁論をする必要があるときは、これを第一審裁判所に差し戻すことができる。

 裁判法

 第四条 (上級審の裁判の拘束力)  上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する。

(第一審の管轄違いを理由とする移送)

 第三百九条  控訴裁判所は、事件が管轄違いであることを理由として第一審判決を取り消すときは、判決で、事件を管轄裁判所に移送しなければならない。

(第一審判決の取消し及び変更の範囲)

 第三百四条  第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。

(既判力の範囲)

 「不利益変更禁止の原則」

 民事訴訟上訴審で、原判決上訴人の不利益になるように変更できないこと。民事訴訟法で、口頭弁論は当事者が原判決の変更を求める限度においてのみ行い(296条)、原判決の変更不服申し立ての限度においてのみ行う(304条)と規定しているため、原則として原判決を上訴人の不利益になるように変更することはできない。

 第百十四条

 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。

 「不利益変更禁止の原則」は、処分主義の控訴審に置ける表れであるから、

処分主義が適用されないような訴訟(人事訴訟等)に妥当せず(離婚訴訟における財産分与の裁判について此原則の適用が゜無いとするのは、最判平2・7・20民集44・54・975)

 また裁判権等職権調査に関わる訴訟要件を欠く場合にも、原告のみの控訴に関して。原審の一部認容判決を取り消して却下できる(不服申し立ての対象とされなかった部分について、控訴後に訴えの利益が失われた場合には、職権で原判決を取り消し、訴えの却下の判決がされる。最判平15・11・11民集57・10・1387)。


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