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【民事訴訟法 複雑な訴訟形態 複数請求訴訟②】 ノート形式

2014-10-26 17:41:48 | 民事訴訟法
〔訴えの変更〕



(1)意義
(訴えの変更)第百四十三条  原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。
2  請求の変更は、書面でしなければならない。
3  前項の書面は、相手方に送達しなければならない。
4  裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない。


・事後的な請求の併合形態といえる。
・「訴えの変更」、「反訴」、「中間確認の訴え」も含まれる。
・変更の態様~変換的変更と追加的変更がある(最判昭和39年7月10日民集18・6・1093〔201〕、最判昭和32年2月28日民集11・2・374〔202〕)。

〇変換的変更~旧請求にそっくり代えて新請求の審判を求めるものである。
(例)建物明渡訴訟→建物が被告の過失によって焼失→損害賠償請求訴訟
・旧請求:原告による訴えの取下げ乃至請求の放棄を要する(最判昭和32年2月28日民集11・2・374〔202〕)。
・旧請求を維持した儘、新請求を追加する「追加変更」と旧請求の訴えの取下げ等の「複合行為」と解される。

〇「請求の拡張」「請求の減縮」
(例)訴訟の途中で請求額等増減。
 通説・判例~前者を訴えの追加的変更、後者を訴えの一部取下げ乃至請求の放棄と診る。

〇選定当事者訴訟
(選定当事者)第三十条
3  係属中の訴訟の原告又は被告と共同の利益を有する者で当事者でないものは、その原告又は被告を自己のためにも原告又は被告となるべき者として選定することができる。

 
(選定者に係る請求の追加)第百四十四条  第三十条第三項の規定による原告となるべき者の選定があった場合には、その者は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者のために請求の追加をすることができる。
2  第三十条第三項の規定による被告となるべき者の選定があった場合には、原告は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者に係る請求の追加をすることができる。

3  前条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定は、前二項の請求の追加について準用する。



(2)要件
 裁判所の職権調査事項になる。

①事実新の口頭弁論前であること
 請求の趣旨が変更になるだけで、実質は旧請求の儘と評価出来る場合は、事実審を一切必要とし無い為、例外として赦される(上告審で給付訴訟を破産債権確認訴訟に変更したことが認められる事例として、最判昭和61年4月11日民集40・3・558〔203〕 )。

②請求の基礎に変更が無いこと(最も重要な要件)
〇「請求の基礎の同一性」が無い場合でも認められる場合
・(通説)相手方の同意乃至意義無く新請求に応訴した場合
 相手方の主張事実に立脚して自らの新たな請求の原因とする場合(前掲昭和39年7月10日〔201〕)。

③許否の判断
・「訴えの変更」に該当するか如何かについて争いある。
 裁判所が消極的に判断した場合審理を続行
~中間判決(245条)乃至終局判決の理由中で、其の点の判断を示す→143条4項(変更を赦さ無い)→終局判決の理由中でも差し支え無い。

(中間判決)第二百四十五条  裁判所は、独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる。請求の原因及び数額について争いがある場合におけるその原因についても、同様とする。


 不許可決定に対する抗告は赦され無い(即時抗告出来るという有力説もある)。


(4)効果
 旧請求についての審理の結果~当該新請求についての審理の前提となる。
・旧請求と新請求とでは、経済的意味内容が大きく異なる場合
(例)旧請求=利息請求、真請求=元本請求
 此の場合旧請求下での自白に拘束されると言うのでは手続保障の点に於いて十分では無い~自白の効力を及ぼさ無い或いは自白の撤回等例外的取扱いの主張も有力視されている。



〔訴えの変更での新請求についての管轄〕

「家庭裁判所に為された請求異議の訴え」
新請求について管轄権が要求され無いとされた最高裁判例:
 家庭裁判所に為された請求異議の訴え(民執35条)の審理⇒民事訴訟法によって為される→此の訴えの審理中に訴えの「交換的変更」が為された場合→家庭裁判所は受訴裁判所として其の許否を決める権限を有す。

(請求異議の訴え)第三十五条  債務名義(第二十二条第二号、第三号の二又は第四号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2  確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
3  第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。


「訴えの要件」の欠ける処が無ければ、此れを赦した上で
 新訴が家庭裁判所の管轄に属さ無い訴えである場合→16条1項により、新訴を管轄裁判所に移すべきものとする(最判平成5年2月18日民集47・2・632〔204〕)。

 嘗ての多数説 136条+「特別要件」(新請求について他の管轄所に属さ無いこと)。


続く

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