魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【ケインズの理論⑫】

2018-01-25 12:51:08 | マクロ経済の基礎の基礎

【ケインズの理論⑪】から続く

✱ 此れ「ケインズの理論」シリーズ以降も、「国民所得論」の学習は続く。

 古典派の「総需要=国民所得NNP」という主張が、ケインズ派の理論に依って「『産出高に対する総需要』は必ずしも『産出高に等しく無い』」とされた☜「消費と投資への希望が十分に大きい時のみ『産出高は完全雇用の水準に在り⇨総ての人に仕事が存在する』」

 「国民所得の学習」は、以降今回迄のシリーズで学んだことをより進め、且つ「総需要線は、政府の如何なる政策で完全雇用を実現させる程高いものに出来る」かを学習して行く。


 「ケインズ理論」のシリーズの纏め

① 「NNP報告書」は、「経済にただ一つの企業が存在する」との仮定を排除しても、変化するもので無い(☜一企業の産出高と生産に対する企業の現実の貢献を区別する必要を満たした上で)。
 凡そ企業は他の企業から原材料を買うから、GDPを知る為に「企業の産出高を加算」して行くと「同じ財を重複して計算することに成る」のである。

② 「重複計算の可能性の排除」⇨「付加価値報告書」の作成が欠かせ無い(☜「生産報告書」の両側から"原材料の購入を控除"することで得られる)。
 一企業の付加価値報告書の最後にある数字が、GNPに対する其の企業の実際の貢献である。

③ 民間国内粗投資(GPDI)の定義☞「建物及び設備の追加額総て+在庫品の変化の和」
 粗生産物GBP=消費+民間国内粗投資GPDI=総ての賃金及び俸給、賃料、利子、減価償却、及び利潤の合計

民間国内純投資(NPDI)の定義☞民間国内粗投資GPDI-減価償却=資本ストックの一定期間中の純変化

⑤ [仮定]家計では如何なる生産も行われ無い。
 上の仮定の下では、粗生産物GBPの両側から減価償却を控除⇨国民所得NNP報告書が得られる。
 国民所得NNP=民間国内純投資NPDI+消費=総ての賃金及び俸給、賃料、利子、減価償却、及び利潤の合計=国民所得=NNP

⑥ 「民間貯蓄NPS=国民所得-消費」 と定義。
 国民所得NNP報告書の両側から消費を控除⇨「民間国内純投資NPDI=民間貯蓄NPS」と成る☜会計的恒等式であり必然的に真実である。

⑦ 貯蓄は必然的に投資に等しいが、然し総需要が必然的に国民所得NNPに等しいと仮定出来無い。
 消費者が彼等の貯蓄を資本財に支出し無いならば。或いは資本財に支出する他の人に彼等の貯蓄を貸し出さ無いならば、総需要はNNPより小さく成る。そうなれば、依然として民間国内純投資NPDI=民間貯蓄NPSと成るが、其の投資は望まれざるものであり、経済は不況に成る。

⑧ 賃金と物価が一定ならば、産出高の総供給は総需要によって決まる。
 「総需要>完全雇用産出高成」らば、上の現実は崩れる。此の場合は産出高は完全雇用産出高に留まる。

⑨ 産出高に対する需要は、「消費需要+投資需要」で構成されて居る。消費需要は国民所得NNPの関数である。以下消費に関する法則。
一、限界表紙性向は正の分数である。
二、平均消費性向は所得が増加するにつれて低下する。
三、平均消費性向は低い所得水準では1より大である。

➉ 「貯蓄=所得-消費」と定義
 「貯蓄の所得に関する関係」は「消費の所得に関する関係」から知れる。
 限界消費性向=1-限界消費性向。
 消費に関する3つの法則に対応して貯蓄についても3つの法則が存在する。

⑪ 産出高が均衡状態にある為には、
 産出高に対する「総需要=国民所得NNP」に成らねばならない。此の時、
 貯蓄=総需要
と成る。
⑫ 「消費需要の増加又は自生需要の増加」は、国民所得NNPの乗数倍の増加を齎す。
 国民所得NNPの変化を知るには、

 投資需要ID又は自生的消費需要ACの変化
 ×{1/(1-貯蓄性向)}
或いは、
 ×{1/(1-限界消費性向}
で知れる。

⑬ 古典経済学者「産出高は常に国民所得NNPに等しく、貯蓄=投資需要である」として居た☜ケインズ理論「此の古典派に対する考え方を否定」、「古典派の理論は均衡に於いてのみ成り立つ」とした。
 然も、「均衡は完全雇用の以下の処でも成立するかもしれない」のである☜譬え、総ての人に仕事を与えるのに充分なだけの生産がされたとしても、総需要が国民所得より小さいかも知れない⇨其の時は、産出高減少⇨遂に"完全雇用以下の処"で「均衡が成立」する。

 以上、「ケインズ理論」のリーズは一先ず終わるが、「マクロ経済を学ぶ目的」は、マクロの場での経済現象を確認するだけに留まらず、如何にして学んだことを実経済に生かして政策に反映させるべきかを学ぶことに重点が置かれるものである。以降も、マクロ経済の幾つかのシリーズを立て学習を進めて行きたい。

 

別シリーズにつづく

 

 

 

※ 本投稿文中の綴りや語句の使い方や理論分析の誤りは、適当に解釈して貰うか、コメント欄で指摘して頂きたい。


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