【海外との国際収支等③】からの続き
国際収支問題は明らかに「国際収支表」の左右の合計が等しく成ら無いことを問題にするものでは無い。「国際収支表」の左右の合計は必ず等しく成るものである。
国際収支問題の本質は国際通貨制度を理解しなければ成らない。1976年1月にKingstonで開催されたIMF暫定委員会では変動相場制と米国ドルの金本位制廃止が確認され、1978年4月に協定発効に伴って先進国の通貨に於ける金本位制は完全に終焉した。 然し、教科書は今から半世紀以上前に書かれたものであるので、此処では、米国が未だに限られた意味での金本位制を維持した時代のこととして話を進めて行く。というのは、国際通貨制度を理解するのに金本位制度を前提にして話すことは擋有意義なことと考えられるからである。
金は国内的には通貨の交換手段として使用されて無かったが、対外的には通貨として機能して居た。米国政府は提出された金を総て1㌉35$で買い上げ、米国貨幣を金に結び付けて居た☜金本位制を採って居た其の国の一定額の貨幣と交換に金を売買して居た⇨二つの国家間で一定の価格で金を売買する意思が在る場合⇨両国の何れの貨幣の価値も他の一国の貨幣で表わして固定されて居た。
〇 米国1㌉35$、墨西哥1㌉70㌷⇨1$=2㌷、1㌷=50¢
〇 35万$で1万㌉の金が買える⇒其の1万㌉の金を70万㌷で売り⇒70万㌷を売って42$を入手する。此処で、
1㌷の価格が60¢と仮定: 70万㌷で42万$手に入れられる。
35万$と交換に1万㌉の金を手に入れる⇒其の金を売って70万㌷を手に入れる⇒此のを42$と交換する⇒35万$→42$と成った。
👆の利益を当然為替交換業者等は気付き⇒$に対して㌷の供給を増加させて㌷の価値は下がり軈て、㌷は下落し1㌷=50¢に落ち着く。
では、もし1㌷40¢の場合を考えて見る。70万㌷で1万㌉の金を交換出来るとする。
此の金を米国に持ち込んで35万$と交換する⇒
35万$÷0.4=87万5,000㌷
此の利益を当然為替交換業者等ら気付き、金を米国に輸出して金と$とを交換して㌷を入手する⇒㌷で表示した$の価格が下がる⇒㌷の価値の騰貴⇒㌷50¢迄騰貴は続く。
「通貨と交換される金の量が所与として、各国の通貨が売られても、金の移動は尚可能である。」と教科書には書かれて居る。
1㌷50¢で㌷に対する需要が供給よりも大⇒金は需要を満たす為に、必要とされる㌷を入手する為米国から流出する。
財及びサービスを輸入し、利子及び配当を支払い、金融資産を輸入し、外国人に贈与を行う為には、外国為替が必要である。外国人は米国の輸出品を買い、利子及び配当を支払い、金融資産を買い入れ、贈与を行う結果外国為替を供給する。
外国為替の需要>供給☜「国際収支の赤字」⇨貨幣当局が何等行動をとらなければ⇒金は喪失する☜金の喪失を阻止する為に貨幣当局が借り入れを行えば直ちに金を失うことは無く成る☜現実に金を喪失し無いで国際収支の赤字と成る可能性がある。
金の喪失にも拘わらず、米国が十分な金を保有して居ると考えて居れば、米国の国際収支赤字は憂慮すべきことには成ら無い。国際収支の赤字が金を枯渇させる危険のある時に「国際収支問題」が発生するのである。
もし、多くの米国人が「金貯蔵量が1㌉35$で金への交換を継続するのに十分で無い」と考える⇨「米国は金価格を変更すべき」と声が上がる?
金価格70$/㌷で㌷の金価格は不変⇒1$≠2㌷、1$≠1㌷☜1$は㌷で表わすと1/2の価値に成った。
👆の様なことが起こると予測する人々は、
$を売って㌷に替え、㌷を保有して$の切り下げ後⇒再び㌷を度に交換する様な大きな誘引を持つ☜現在、1,000$で2,000㌷買えるし、切り下げ後、2,000㌷が2,000$に交換できることに期待する。
平価切下げが広く予測される場合、米国の金貯蔵量が枯渇する可能性が極めて大きなものと成る。
① 人々は、$を売って㌷を買う為に手持ち現金や銀行残高の総てを使い、手持ちの株式や債券の総てを売り、自宅を売り、又他人から借金することも出来る。
② $の平価が間も無く切り下げられると信じる外国人は、米国国内に持って居る銀行残高を手放し、米国で売却出来る保有証券を総て売却し、米国で借りるだけ借りて受け取った現金を総て㌷に交換することに成る。
$が切り下げられると信じる人が僅かしか居無いとすれば、特別な問題は起き無いが、切り下げの見解が一般的に成ると、35$に対して1㌉の金を与える米国の制約を放棄せざるを得ないほど多量の金が流出して終うことに成る⇒米国は投機業者に依って予想される状態に止むを得ず落ち込むことに成って終う。
必ずしも、国際収支の赤字が厄介なものであるとの必然性は無いものの、国債通貨機構運営の責任者は、もし米国が実際に金を喪失しつヽ在るか又は喪失する傾向に在るならば、必ず心配を大きくする。
$に対する取り付けが何時起きるかは知るべくも無いが、国際収支の赤字が其れを引き起こす可能性は絶えず持って居るだろう。
金に呈する潜在的請求権よりはるかに少ない金貯蔵量の存在☜預金の支払いに充てられる現金通貨の存在よりも遥かに多量の要求払預金が存在する一部準備銀行制度に或る程度類似して居る☜此れの孰れもが問題を引き起こす可能性は存在し無い。
人々は預金通貨を要求し無いで現金通貨で支払われる要求払を要求出来る様に、金に対する請求権を行使し無いで、其の請求権を保有可能なのだ。
然れども、真の困難性が起きる可能性は常に存在し現出する。預金者は、万が一銀行が現金通貨で払うことが出来無いならば、直ちに預金通貨を欲することに成る。同様に、米国が金を支払う誓約を最早維持出来無いと多くの人々が信じ込まれる様な事態が生じると、米国が保有するより多くの金が受容されることに成る。
然し、国際通貨制度と商業銀行制度の類似性には限界が在る。今日、預金者が銀行組織から現金通貨を全部引き出し始めても「金融恐慌」が発生する必然性は存在し無い。今日、連銀は加盟銀行に対して貸し付ける為に必要とされる新たな現金通貨を総て創出出来る権限を持っている。
然し、金の取り付けはそう簡単なもので無い。金を創出する機関は世界中何処にも存在し無い。金に対する需要が米国の貯蔵量を超えるなら、米国は一定限度の引き出し権を保有する国際通貨基金を利用可能であるし、又名言出来んが外国の中央銀行と政府から借入れも可能であるが、米国が金を支払う制約を維持出来る保証は存在し無い。
国際通貨基金は、連邦準備制度が国内金融恐慌を阻止する為に保有して居るのと同じ権限を、国際金融恐慌を阻止する為に保有するものでは無いのである。
第2次世界大戦末には米国の金ストックは巨額と考えられ、然も増加する傾向にあった。世界的$不足が超えたがに言われる様に成るに連れて、其れは他の諸国が欲する$全部を彼等が入手出来無いことを意味した。然し、軈て1950年代に成ると、此の様な状態は逆転した。米国の金ストックに対する請求権が増加して累積し始め、米国の金貯蔵量は実際に減少し始めた。米国は、政府が或行動を採らなければ、其の金ストックに対する取り付けを経験するかもしれないという危惧が益々高まった。1966年に若干の処置が執られたが、其の問題は尚も広がって軈て変動相場制へと自体が移ったのだが、此れも或る意味危うい危険かを内蔵するものである。
つづく
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