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民事訴訟 【訴訟審理 証明 概要】逐次追加

2014-09-01 12:10:22 | 民事訴訟法

訴訟の審理

証明

概要

(1)証明

[必要性]

民事訴訟の裁判⇒実態法規の適用により、権利義務の存否を判断して行う。

実態法規の適用→其の構成要件に該当する事実の存否を明かにする必要がある。⇒「裁判所の事実認定」と呼ばれる作業。

 「事実認定」の為に必要な裁判官の心証の常態を「証明」と言う。

 裁判官にこのような心証を形成させる為に行われる当事者の活動(=挙証・立証)と同じ意味。

[証明と疎明]

証明⇒裁判官が其の事実の存在について確信を得た状態。→判決の為の事実認定←証明が必要。

?損害額の認定については困難なものが在る。

第二百四十八条  損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
⇒損害額についての証明度を軽減したものか裁判所の裁量を認めたものか議論が分かれる規定である。
 
(損害額の例)慰謝料、死亡した幼児の逸失利益、火災により消失した家屋内の家財等動産の損害額、独占禁止に違反する価格協定による損害算定の前提としての想定購入価格(最判平成元年・12・8民集43・11・1259〔129〕)。
 裁判官の心証が確信まで達して居無い場合→真偽不明として証明責任の問題となる。⇒確信と言っても一転の疑いも挟む余地の無い自然科学的証明は要求されず、事実が存在することの高度の漫然性で足りる(最判昭和50・10・24民集29・9・1417〔130〕)。
 事実の存在が一応確からしいという程度の心証で十分とされる場合が在り、「疎明」と呼ばれる。

民事保全法13 (申立て及び疎明)

2 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。

第三十五条  法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。
 
第九十一条  
 公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
 
第百九十八条  証言拒絶の理由は、疎明しなければならない。
 

民事訴訟規則10 (除斥又は忌避の申立ての方式等・法第23条等)

3 除斥又は忌避の原因は、申立てをした日から3日以内に疎明しなければならない。法第24条(裁判官の忌避)第2項ただし書に規定する事実についても、同様とする。

第百八十八条  疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない。
[厳格な証明と自由な証明]
「厳格な証明」~本案の問題に関する証明。法の許容する証拠方法を法の規定する手続きに従って取り調べることで得られた資料に基づく必要が在る。
「自由な証明」~必ずしも、厳格性を要求され無い。
職権調査事項(訴訟要件の大半が此れに当たる。)、上告審の職権調査事項、決定手続で審理される事項(任意的口頭弁論)等。
第三百二十二条  前二条の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
※第三百二十条  上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。 
※第三百二十一条  原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する。 
 第三百十一条第二項の規定による上告があった場合には、上告裁判所は、原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として、その判決を破棄することができない。
(上告裁判所)
※※第三百十一条  上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる。
 第二百八十一条第一項ただし書の場合には、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、直ちに上告をすることができる。
※※※第二百八十一条  控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
 
 
 決定手続きで審理されている事項(任意的口頭弁論)等については、必ずしも法廷の証拠方法及び手続きによらなくともよいと考えられている。法規や経験則に基づいて証明が必要な場合も同様とする。⇒自由な証明→これとて、裁判官が確信することが必要であって疎明とは異なる。更に、裁判官が訴外で得た資料(私知)に基づいて裁判することは出来無い。
(1)証拠
①証拠方法・証拠資料・証拠原因
証明?原則として証拠に基づく。
〇証拠と言う言葉の三つの厳密な意味。
一、「証拠方法」~裁判官が互換の作用によって取り調べをする対象となる有形物を指す。⇒証人・鑑定人・当事者という人証と、文書-検証物から成る物証に分けられる。
二、証拠資料の意味であり、証拠方法の取調べによって裁判官が感得した内容を言う。証人の証言、鑑定人の鑑定意見、当事者の供述、文書の記載内容、検証の結果等が此れに当たる。
三、証拠原因であり、裁判官が事実の存否に付き確信を抱くに至った原因(根拠)。
②証拠能力・証拠力
 特定の有形物を証拠として用いることが出来る資格を証拠能力と言う。民事訴訟では人証・物証あらゆるものに証拠能力が認められ、刑事訴訟とは異なり、伝聞証拠も禁止され無い。⇒「事由心証主義の一環」。

民事訴訟規則15 (法定代理権等の証明・法第34条)

 法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権は、書面で証明しなければならない。選定当事者の選定及び変更についても、同様とする。

民事訴訟規則23 (訴訟代理権の証明等・法第54条等)

1 訴訟代理人の権限は、書面で証明しなければならない。

第百六十条  裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごとに調書を作成しなければならない。
 口頭弁論の方式に関する規定の遵守は、調書によってのみ証明することができる。ただし、調書が滅失したときは、この限りでない。
第百八十八条  疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない。
 
 
第三百五十二条  手形訴訟においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。
 
第三百六十七条  小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、小切手訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
 
 第三百五十条第二項及び第三百五十一条から前条までの規定は、小切手訴訟に関して準用する。
 窃取・横領された文書、無段で録音されたテープ等違法な手続きにより収集された証拠方法の証拠能力を否定すべきか、議論がある(東京高裁昭和52・7・15判時867・60〔131〕)。
 
「証拠能力」(=証拠価値、信用性)~特定の証拠方法の取調べにより得られた証拠資料が其の訴訟で事実認定にどの程度役立つか(信用出来るか)、という問題である。⇒自由心証主義~具体的事件毎に裁判官の判断に任されている。
〇「文書」について
 
一、形式的能力(成立の真正)~文書が名義人の意思に基づいて作成されたか否か?
二、実質的証拠力~記載内容が信用出来るか?
③直接証拠・間接証拠
 証拠には、人証・物証といった証拠方法の存在形態による分類の他に、証明すべき事実や証明責任との関係で、次の分類が在る。
[直接証拠・間接証拠]
直接証拠~主要事実(直接事実)を証明する為に役立つ証拠。
間接証拠~間接事実亦は補助事実を証明するのに役立つ証拠。
[本証・反証]
「本証」~当事者の一方が自ら証明責任を負う為に提出する証拠。⇒裁判官に確信を抱かさせるに至って初めて其の目的を達することが出来る。
「反証」~相手方当事者が此れを争う為に提出する証拠。⇒裁判官の心証を動揺させ真偽不明の状態を齎せれば成功したことになり、裁判官に相手方当事者が証明責任を負う事実の存在に付き確信を抱かせる必要は無い。
④事実認定の資料
第二百四十七条  裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
「証拠調べの結果」=前述の「証拠資料」
 
?弁論主義は、証拠方法の提出につき当事者の支配権を認めるものであって、裁判官が得た証拠資料にまで当事者の支配権を認めるものでは無い。証拠資料の評価・活用は、自由心証主義の問題である。
 口頭弁論の全趣旨とは、審理の家庭に現れた一切の模様・状況を言う。当事者及び代理人の陳述の内容・態度だけでは無く、裁判所が釈明処分としていた検証、鑑定、調査の食卓の結果なども含む。
第百五十一条  裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、次に掲げる処分をすることができる。
 
 検証をし、又は鑑定を命ずること。
 調査を嘱託すること。
 証拠調べの結果と口頭弁論の全趣旨との間に優劣は無い。どちらを重視するかも「自由心証主義の問題」であり、証拠調べをせずに全趣旨だけから事実を認定しても良いし、二つが矛盾する場合には、後者を重視することも出来る。然し、証拠調べをしたのに、その結果を全く考慮せずに、口頭弁論の全趣旨だけから事実認定をすることは出来無い。
 
※次回に続く

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