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民事訴訟 【訴訟審理 証明 証明の対象】逐次追加

2014-09-02 13:27:33 | 民事訴訟法

証明の対象

(1)事実

①証明に使える事実

証明の対象:

〇主要事実(直接事実)~実態法規の構成要件に該当する事実

 主要事実の存否が証拠から直接明らかになら無い場合→経験則を借りて間接事実から主要事実を推認。

 証拠の証拠能力及び証拠価値を明かにする補助事実も、証明の対象と成る。

②法規や経験則

 裁判官の不完全な知識により不当な裁判が為される危険を回避⇒外国法、地方の条例、慣習法

 経験則~放棄に類似する機能を持っている。←三段論法の大前提となる。専門的経験則は当事者に攻撃防御を尽くさせ校正な裁判の保障に必要。

(2)証明を要し無い事実

第百七十九条  裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
①裁判上の自白
「自白」~当事者の一方が自己に不利益な相手方の主張事実を認めること。

民事訴訟規則67 (口頭弁論調書の実質的記載事項・法第160条)

1 口頭弁論の調書には、弁論の要領を記載し、特に、次に掲げる事項を明確にしなければならない。

一 訴えの取下げ、和解、請求の放棄及び認諾並びに自白

民事訴訟規則88 (弁論準備手続調書等・法第170条等)

1 弁論準備手続の調書には、当事者の陳述に基づき、法第161条(準備書面)第2項に掲げる事項を記載し、特に、証拠については、その申出を明確にしなければならない。

2 裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって弁論準備手続の期日における手続を行うときは、裁判所又は受命裁判官は、通話者及び通話先の場所の確認をしなければならない。

3 前項の手続を行ったときは、その旨及び通話先の電話番号を弁論準備手続の調書に記載しなければならない。この場合においては、通話先の電話番号に加えてその場所を記載することができる。

4 第1項及び前項に規定するほか、弁論準備手続の調書については、法第160条(口頭弁論調書)及びこの規則中口頭弁論の調書に関する規定を準用する。

〇当事者が先に事故に不利益な事実を主張し、相手方が此れを援用したときも同様に扱われる(先行自白)。(大判昭和8・2・9民集12・397〔132〕、最判昭和35・2・12民集14・2・223〔133〕)。

〇一部自白

「理由付き否認」(例)貸し金返還請求訴訟~被告が金銭を受け取ったが借りたのでは無く貰ったものだと主張する場合→消費貸借契約の成立要件のうち、金銭の交付については自白が成立し、返還の合意について否認したことになる。

「制限付き自白」(例)被告が借りたが返したと主張する場合→消費貸借契約の成立に自白が成立し、返還について否認したことになる。

?当事者の陳述の一致が証拠に嫁認定を排除するのは、「弁論主義」の要請であり、「職権探知主義」が妥当する手続きでは自白は効力を認められ無い。

人事訴訟法(職権探知)
第二十条  人事訴訟においては、裁判所は、当事者が主張しない事実をしん酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる。この場合においては、裁判所は、その事実及び証拠調べの結果について当事者の意見を聴かなければならない。
非訟事件手続法(裁判官の除斥)
第十一条  裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。
 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者(終局決定(申立てを却下する終局決定を除く。)がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。
 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。
 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。
 裁判官が事件について当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。
 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。
「法規の解釈適用」が問う自主の主張が一致した場合~「法規の解釈適用」は裁判官の職責事項⇒自白とは認められ無い。
?「権利や法律関係の存否自体」に付き当事者の主張が一致する場合~対象が訴訟物自体である場合→訴訟の放棄・認諾として訴訟の終了原因となる。
第二百六十七条  和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
?訴訟物たる権利主張の前提となる「先決的」権利亦は法律関係につき当事者の主張が一致する場合⇒「権利自白」
・「権利自白」の基礎にある自白に限って効力を認めるという考え方(最判昭和30・7・5民集9・9・985〔134〕)。
?当事者や其の代理人が内容を十分に理解して為した「権利自白」には「事実の自白」と同様の拘束を認めるのが妥当である。
?判例は事実に関しても「所要事実」のみ自白の効力を認め、「間接事実」及び「補助事実」については自白の効力を認めない(最判昭和41・9・22民集20・7・1392〔135〕、最判昭和52・4・15民集31・3・371〔136〕)が、此れに対し居も反論が在る。
 裁判上の自白は、裁判所及び当事者を拘束する。裁判所は、自白された事実を其の儘裁判の基礎としなければ成らず、証拠調べをすることは出来無いし、其れと矛盾する事実を認定することも出来無い。
 自白をした当事者は原則其の撤回は出来無いが、自白の内容が事実に反し、且、錯誤に基づいて自白をした場合には撤回が赦される(大判大正11・2・20民集1・52〔137〕。尚、最判昭和25・7・11民集4・7・316〔138〕)。
 相手方が撤回に同意した場合(最判昭和34・9・17民集13・11・1372〔139〕)。
 
 
 詐欺・脅迫等桂次上罰すべき他人の行為により自白をするに至った場合(最判昭和33・3・7民集12・3・469〔140〕)も撤回が赦される。
②擬制自白
第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
 
第百七十条  裁判所は、当事者に準備書面を提出させることができる。
 
 第百四十八条から第百五十一条まで、第百五十二条第一項、第百五十三条から第百五十九条まで、第百六十二条、第百六十五条及び第百六十六条の規定は、弁論準備手続について準用する。
(最判昭和43・3・28民集22・3・707〔141〕参照)。
 犠牲自白も自白と同様裁判所を拘束するが、当事者に対する拘束力は無い。当事者は、其の後の口頭弁論期日に於いて、相手方の主張事実を争うことが出来る。
 
第百五十七条  当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
③顕著な事実
「顕著な事実」
〇公知の事実~歴史上の著名事件、天才、大事故等一般によく知れ渡っている事実である。尤も、半鐘は赦される。
〇裁判所に顕著な事実~審理を担当している裁判官が職務の執行上知ることが出来た事実であり、別の事件について自等した裁判や,其の裁判所で公告された破産手続開始決定等を指し、裁判官が職務以外で知った事項は除外される。
⇒客観的事実認定が保障されるから。
※次回に続く。

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