訴訟の審理
証明
概要
(1)証明
[必要性]
民事訴訟の裁判⇒実態法規の適用により、権利義務の存否を判断して行う。
実態法規の適用→其の構成要件に該当する事実の存否を明かにする必要がある。⇒「裁判所の事実認定」と呼ばれる作業。
「事実認定」の為に必要な裁判官の心証の常態を「証明」と言う。
裁判官にこのような心証を形成させる為に行われる当事者の活動(=挙証・立証)と同じ意味。
[証明と疎明]
証明⇒裁判官が其の事実の存在について確信を得た状態。→判決の為の事実認定←証明が必要。
?損害額の認定については困難なものが在る。
第二百四十八条 損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
⇒損害額についての肖明度を軽減したものか裁判所の裁量を認めたものか議論が分かれる規定である。
(損害額の例)慰謝料、死亡した幼児の逸失利益、火災により消失した家屋内の家財等動産の損害額、独占禁止に違反する価格協定による損害算定の前提としての想定購入価格(最判平成元年・12・8民集43・11・1259〔129〕)。
裁判官の心証が確信まで達して居無い場合→真偽不明として証明責任の問題となる。⇒確信と言っても一転の疑いも挟む余地の無い自然科学的証明は要求されず、事実が存在することの高度の漫然性で足りる(最判昭和50・10・24民集29・9・1417〔130〕)。
事実の存在が一応確からしいという程度の心証で十分とされる場合が在り、「疎明」と呼ばれる。
民事保全法
13
(申立て及び疎明)
2 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。
第三十五条 法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。
2
公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
民事訴訟規則
10
(除斥又は忌避の申立ての方式等・法第23条等)
3 除斥又は忌避の原因は、申立てをした日から3日以内に疎明しなければならない。法第24条(裁判官の忌避)第2項ただし書に規定する事実についても、同様とする。
[厳格な証明と自由な証明]
「厳格な証明」~本案の問題に関する証明。法の許容する証拠方法を法の規定する手続きに従って取り調べることで得られた資料に基づく必要が在る。
「自由な証明」~必ずしも、厳格性を要求され無い。
職権調査事項(訴訟要件の大半が此れに当たる。)、上告審の職権調査事項、決定手続で審理される事項(任意的口頭弁論)等。
2 第三百十一条第二項の規定による上告があった場合には、上告裁判所は、原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として、その判決を破棄することができない。
(上告裁判所)
2
第二百八十一条第一項ただし書の場合には、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、直ちに上告をすることができる。
※※※第二百八十一条 控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
決定手続きで審理されている事項(任意的口頭弁論)等については、必ずしも法廷の証拠方法及び手続きによらなくともよいと考えられている。法規や経験則に基づいて証明が必要な場合も同様とする。⇒自由な証明→これとて、裁判官が確信することが必要であって疎明とは異なる。更に、裁判官が訴外で得た資料(私知)に基づいて裁判することは出来無い。
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