【日本は最早経済大国としての地位を維持出来ない。】

　近年、東亜細亜の国々の経済的躍進は著しい。既に韓国は一人当たりのGDPは日本を超える迄に至り、中共は国内外に様々な問題を抱えているとは言え経済力は既に日本を大きく超えている。

　印度は未だ貧困から抜け出せ無いとは言え、着実に経済力を伸ばしつつあり、東南亜細亜諸国はASEANを構築して久しく、其の全構成国１０カ国のGDPは既に日本の半分を間近で超える。更に、域内でのあらゆる物品の９０パーセントは関税率を０に抑えて、構成国の一体化した経済大勢は強固なものと成っている。

　今迄、古い因習や宗教観に囚われて発展を抑えられていた国々も、一度解き放たられると発展への弾みが付き、経済も急進的に発展するものである。然も、彼等には先進国、特に同じ亜細亜の国の日本という御手本が在り、日本が明治維新の時に欧米を御手本として大躍進出来た様に、一度障礙が取り除かれれば後は時間が自然に発展を進めるのだ。

　外の諸国の経済的テイクオフが始まれば、相対的に日本の経済での絶対的優位性が失われて行くのは必然である。

　日本は未曾有の膨大な額の国公債の国家債務があり、況してや著しい少子高齢化に見舞われている。幾ら、安倍晋三が威勢の良い事を言っても、其れこそ時代の大波が日本を押し流しつつあることは否め無い。

　然し、其の様な悲観論は既成の見識上から来るものだと心を切り替えれば譬え日本国の経済力が沈んだとしても国民の幸福感を満足させる国家造りは可能である。我等日本民族はあの大戦に敗れてマイナスから立ち上がって一時は世界第二位の超経済大国迄に伸し上がった。尤も、勿論、今日とは環境も世界情勢も違う。然し、国民の弛まぬ努力と忍耐が無ければ成せることでは無い。

　今の日本は個人主義が蔓延し、国民意識も希薄である。今発展している東南亜細亜等の国々は恐らく豊かな社会を目指すことでは一致した協力意識を持っているのだろう。敗戦後の日本人が懸命に日本を立て直そうとしていた時の様に。

　日本の経済力が相対的に低落して行くことは、最早必然である。既成の社会システムや経済システムに獅噛み付いて夢をもう一度は絶対無理である。国民が幸せ感を持てる社会や経済の仕組みを構築し、世界の情勢に影響され無い独自の日本観を持つべきなのである。