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民事訴訟 【訴訟審理 裁判関与者の役割分担 口頭弁論(6)】逐次追加

2014-08-30 12:15:15 | 民事訴訟法

(4)口頭弁論の実施

①当事者の訴訟行為

[攻撃防御方法] 民事裁判においては,その判決の基礎となるべき訴訟資料(主張証拠の申出)のうち,原告側が提出するものを攻撃方法といい,他方被告側が提出するものを防御方法という。この両者一括して,攻撃防御方法という。民事訴訟法では,通常〈攻撃又は防禦の方法〉という表現を用いている(45条,156条,157条等)。

第四十五条  補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
 補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。  補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。
 補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。
第百五十六条  攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない。
 
第百五十七条  当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
 
 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
 
売買代金の支払を求める民事裁判を例にとって説明するならば,次のようになる。原告は審判対象(訴訟物)たる代金支払請求権を発生させる事実(請求原因事実)として,原告・被告の間で売買契約締結され,その約定にもとづき目的物を被告に渡したが,いまだに代金が支払われていない旨の主張をし,もし被告がこの事実の存在を争う場合には,さらにこれを裏づける証拠として,売買契約書等の取調べ裁判所に申し立てることになる。
[訴訟法律行為(予効的訴訟行為)] 裁判を経ずして直接に訴訟法上の法律効果を生じる行為である。単独行為と訴訟上の合意(訴訟契約)に分かれる。
〇単独行為
第二百六十一条  訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。
 訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。
 第二項本文の場合において、訴えの取下げが書面でされたときはその書面を、訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)はその期日の調書の謄本を相手方に送達しなければならない。
 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から、相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の謄本の送達があった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。
 
第二百九十二条  控訴は、控訴審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
 第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条の規定は、控訴の取下げについて準用する。
 
第三百十三条  前章の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告及び上告審の訴訟手続について準用する。
 
第二百六十六条  請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。
 請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。
 

民事訴訟規則67 (口頭弁論調書の実質的記載事項・法第160条)

1 口頭弁論の調書には、弁論の要領を記載し、特に、次に掲げる事項を明確にしなければならない。

一 訴えの取下げ、和解、請求の放棄及び認諾並びに自白

(訴えの取下げ)

第二百六十一条    訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。

第九十条  当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。
 
第二百八十四条  控訴をする権利は、放棄することができる。
第三百十三条  前章の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告及び上告審の訴訟手続について準用する。
 
〇訴訟上の合意
第十一条  当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
第七十六条  担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項 に規定する振替債を含む。次条において同じ。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。※ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
第二百六十七条  和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
 
第二百八十一条  控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。※ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
 
第二条  この法律において「仲裁合意」とは、既に生じた民事上の紛争又は将来において生ずる一定の法律関係(契約に基づくものであるかどうかを問わない。)に関する民事上の紛争の全部又は一部の解決を一人又は二人以上の仲裁人にゆだね、かつ、その判断(以下「仲裁判断」という。)に服する旨の合意をいう。
 この法律において「仲裁廷」とは、仲裁合意に基づき、その対象となる民事上の紛争について審理し、仲裁判断を行う一人の仲裁人又は二人以上の仲裁人の合議体をいう。
 この法律において「主張書面」とは、仲裁手続において当事者が作成して仲裁廷に提出する書面であって、当該当事者の主張が記載されているものをいう。
第十三条  仲裁合意は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者が和解をすることができる民事上の紛争(離婚又は離縁の紛争を除く。)を対象とする場合に限り、その効力を有する。
 仲裁合意は、当事者の全部が署名した文書、当事者が交換した書簡又は電報(ファクシミリ装置その他の隔地者間の通信手段で文字による通信内容の記録が受信者に提供されるものを用いて送信されたものを含む。)その他の書面によってしなければならない。
 書面によってされた契約において、仲裁合意を内容とする条項が記載された文書が当該契約の一部を構成するものとして引用されているときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとする。
 仲裁合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとする。
 仲裁手続において、一方の当事者が提出した主張書面に仲裁合意の内容の記載があり、これに対して他方の当事者が提出した主張書面にこれを争う旨の記載がないときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとみなす。
 仲裁合意を含む一の契約において、仲裁合意以外の契約条項が無効、取消しその他の事由により効力を有しないものとされる場合においても、仲裁合意は、当然には、その効力を妨げられない。
第十四条  仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたときは、受訴裁判所は、被告の申立てにより、訴えを却下しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
 仲裁合意が無効、取消しその他の事由により効力を有しないとき。
 仲裁合意に基づく仲裁手続を行うことができないとき。
 当該申立てが、本案について、被告が弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後にされたものであるとき。
 仲裁廷は、前項の訴えに係る訴訟が裁判所に係属する間においても、仲裁手続を開始し、又は続行し、かつ、仲裁判断をすることができる。
第十五条  仲裁合意は、その当事者が、当該仲裁合意の対象となる民事上の紛争に関して、仲裁手続の開始前又は進行中に、裁判所に対して保全処分の申立てをすること、及びその申立てを受けた裁判所が保全処分を命ずることを妨げない。
〇法律に規定逸れて居無い場合に、当事者が訴訟法上の法律効果を発生する意図で合意することが許されるか、また許されるとして合意にどのような法律効果を認めるかの議論。
不起訴の合意、不控訴の合意、訴え取り下げ契約(最判昭和44・10・17民集23・10・1825〔125〕)、証拠制限契約(東京地判昭和42・3・28判タ208・127〔126〕)、不執行の合意(最判平成5・11・11民集47・9・5255〔127〕、最決平成18・9・11民集60・7・2622)
[訴訟行為の法的規律]
〇攻撃防御方法に働く独自の規律
 「民法の意思表示の瑕疵」に関する規定は適用されない。反面、撤回は事由であるが、「訴えの取り下げ」や「自白の撤回」のような相手方当事者の理恵居保護する必要のある場合は制限される。
(例)矛盾ある主張の併用も認められる。⇒借りた覚えは無いが、借りたとしても返している。⇒仮定的主張の許容。⇒裁判所は本来の主張よりも仮定的主張を先に判断しても良い。⇒どちらの主張が認められても請求棄却判決が得られる点で、被告にとって同じであるからである。
 然し、被告が弁済を主張し其れが認められない場合に備えて総裁を主張する場合⇒相殺は反対債権を犠牲にするので被告にとっては不利である⇒裁判所は先ず弁済の事実が在るか如何かを審理判断しなければなら無い。⇒この場合「予備的主張」と呼んで区別する見解もある。
〇与効的訴訟行為の法律的規律
  此れ迄の通説⇒ 「民法の意思表示の瑕疵」に関する規定は適用されない。⇒詐欺・脅迫等形而上罰すべき他人の行為によって為された訴訟行為については、再審の規定を(338Ⅰ⑤)を類推して、訴訟行為の向日を主張出来るとする見解が有力である(最判昭和46・6・25民集25・4・640〔128〕)。更に、訴外で行われる行為についても、其れが私法上の契約に付随して為される場合も多いので(ex.管轄合意)、民法の規定を類推適用すべきであるとする説の主張も在る。
③裁判所の訴訟指揮
第二百四十三条  裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは、終局判決をする。
第百五十三条  裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる。
第二百四十五条  裁判所は、独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる。請求の原因及び数額について争いがある場合におけるその原因についても、同様とする。
第百五十二条  裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。
 
第百六十条  裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごとに調書を作成しなければならない。
 調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない。
 口頭弁論の方式に関する規定の遵守は、調書によってのみ証明することができる。ただし、調書が滅失したときは、この限りでない。
民事訴訟規則68 (調書の記載に代わる録音テープ等への記録)

1 裁判所書記官は、前条(口頭弁論調書の実質的記載事項)第1項の規定にかかわらず、裁判長の許可があったときは、証人、当事者本人又は鑑定人(以下「証人等」という。)の陳述を録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録することができる物を含む。以下「録音テープ等」という。)に記録し、これをもって調書の記載に代えることができる。この場合において、当事者は、裁判長が許可をする際に、意見を述べることができる。

2 前項の場合において、訴訟が完結するまでに当事者の申出があったときは、証人等の陳述を記載した書面を作成しなければならない。訴訟が上訴審に係属中である場合において、上訴裁判所が必要があると認めたときも、同様とする。

?当事者の欠席の場合の処置

[一方の欠席]

第百六十一条  
 相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載した事実でなければ、主張することができない。 ⇒対席判決主義
第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
 
(終局判決
第二百四十四条  裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。
第百五十八条  原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
第百七十条  裁判所は、当事者に準備書面を提出させることができる。
 第百四十八条から第百五十一条まで、第百五十二条第一項、第百五十三条から第百五十九条まで、第百六十二条、第百六十五条及び第百六十六条の規定は、弁論準備手続について準用する。
②双方の欠席
第百八十三条  証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる。
 
第二百五十一条
 判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができる。
第二百六十三条  当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
 欠席した当事者から期日指定の申し出があったときには裁判所は必ず新期日を指定しなければならない。尤も裁判所は、当事者の申し立てを待たずに職権で新期日を指定することも出来る。
③争点及び証拠の整理手続きにおける欠席
第百六十六条  当事者が期日に出頭せず、又は第百六十二条の規定により定められた期間内に準備書面の提出若しくは証拠の申出をしないときは、裁判所は、準備的口頭弁論を終了することができる。
 
第百七十条  裁判所は、当事者に準備書面を提出させることができる。
 
 第百四十八条から第百五十一条まで、第百五十二条第一項、第百五十三条から第百五十九条まで、第百六十二条、第百六十五条及び第百六十六条の規定は、弁論準備手続について準用する。
 

 

?次回に続く

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