魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【国連加盟国は「難民条約」の理不尽な強制に反対して新たな難民対策を講ずるべき】④

2015-10-20 16:57:28 | 国際・政治
 次に難民の「出入国に関する規定」を述べる。

第十一条は、船舶の常傭の乗組員として勤務している難民が、どこにも定住できずさまようことがないよう締約国が自国への定住を認めること又は第三国への定住が容易になるようにすることにつき好意的に配慮を払うべき旨を定めています。

第三十一条1では、難民が第一条の定める理由により、その生命又は自由が脅威にさらされていた領域から直接来た場合には、不法に入国し又は不法にいる行為が締約国の刑罰法規に触れることとなっても、刑罰を課してはならないと定めています。もっとも、この免除は、その難民が遅滞なく当該締約国の当局に出頭し、不法に入国し又は不法にいることの相当な理由を示すことが条件とされています。なお、退去強制は、この条約作成の際の審議の経緯からも同項にいう刑罰には含まれないと解されます。

同条2では、そのような難民の移動に制限を課することはできるが、制限は必要なものに限られること、また制限期間もその難民がその国に定住することが認められるまでの間又は第三国への入国許可を得るまでの間に限られると規定されています。第三十二条と第三十三条は追放について規定しています。第三十二条1は、締約国は合法的に領域内にいる難民を、国の安全又は公の秩序を理由とする場合を除くほか、追放してはならないと定めており、更に、同条2と3は、追放の手続、不服の申立て、期間の猶予などにつき規定しています。

第三十三条は、いわゆるノン・ルフルマンの原則を定めたものであり、この条約の中核をなしています。同条1は、難民を、人種、宗教などのために、生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放し又は送還してはならないと定めています。ただし、同条2では、国の安全にとって危険であると認めるに足りる理由がある難民又は特に重大な犯罪について有罪の判決が確定しその締約国の社会にとって危険な存在となった難民についてはこの原則の例外としています。
ところで第三十三条1の規定は、いったん締約国に入った難民を脅威にさらされる領域の国境へ追放・送還することを禁じたものであり、未だ入っていない難民を受け入れるべきことを規定したものではないと捉えられ、このことは、条約作成の審議経緯からもうかがえます。なお、ノン・ルフルマンの原則は、「出入国管理及び難民認定法」の第五十三条3に盛り込まれています。


 続 く

最新の画像もっと見る

コメントを投稿