「他人と深く関わらずに生きるには」(新潮文庫)をお気に入りのお店、「花子」で読んだ。自己に響くものがあるので、紹介したい。
濃厚なつき合いはなるべくしない。君子の交わりは淡きこと水の如し。人の心は毎日変わる。但し、自分に関してだけは、どんなに変わっても、自我は同一性を主張して、私は私だと言うわけだから、自分の心変わりだけは非難しない。
究極の所は、自分の心は自分だけのものであり、他人の心はその人だけのものである。対人関係はなるべく希薄なほうがよいのだ。濃厚なつき合いをすると、私のことを本当はどう思っているのだろうかとか、嫌われるんじゃなかろうかとか、私の悪口を誰かに言いふらしているんじゃないかだろうかとか、色々余計なことが気になってくる。
友はいつ別れてもよいから友なのだ。最初から無二の親友がいるわけではなく、いつ別れてもよいのだ、という心構えでつき合っているうちに、結果的に三十年も五十年もつき合ってしまった、というのが無二の友の真の姿である。相手の生き方や生活の干渉をしない。自分の流儀を押しつけない。要するに、相手をコントロールしない、ということが他人とつき合う上で一番大事なことだ。
なぜ、友とつき合うのか。それは自分が楽しくなるためだろう。友とつき合って苦しくなったら損ではないか。友とはなるべく淡々とつき合おう。
池田さんはまず上記のように主張する。が、自己は淡々と生きられないからこのように主張しているのだと思う。池田さんはお気に入りのひとりで、この本については引き続き紹介したい。余談だが、昆虫学者には楽しいかたが多くないか。