天星人語

世間と空、そして(時々)海をぼんやり眺める毎日です。

石川啄木さん

2006-08-28 05:38:08 | 言葉・文字・数

かなしくも

病いゆるを願わざる心我にあり

何の心ぞ

「悲しき玩具」より

青空に消えゆく煙

さびしくも消えゆく煙

われに似るか

「煙」より

 

西日をうけて熱くなった

埃だらけの窓の硝子よりも

まだ味気ない命がある

正体もなく考へに疲れきって、

汗を流し、いびきをかいて昼寝してゐる

まだ若い男の口からは黄色い歯が見え、

硝子越しの夏の日が毛脛を照らし、

その上に蚤が這ひあがる。

 

起きるな、起きるな、日の暮れるまで。

そなたの一生に涼しい静かな夕暮れの来るまで。

 

何処かで艶めいた女の笑ひ声。

「起きるな」

 

東京行きの車中において、読む。彼は書く。「時代に没頭していては時代を批評する事ができない。私の文学に求むる所は批評である」。

 

時代に生きる。しかし時代を表現する。商いとしての表現がある。庶民としての表現もある。没頭していると主張しようがしまいが、時代を批評しているものである。みんな、時代と格闘している。

 

 

 


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1 コメント

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Unknown (たけちゃん)
2006-08-28 07:44:23
大滝村で高速をおりて国道4号線で仮眠、目が覚めて道路標識見ると「渋民」とありました

彼は東北:渋民村出身ですよね,青森県だと思っていましたけれど岩手県だったのですね

東北の寒村、貧しい村のイメージが強いですが、北原白秋も同じ出ですよね!

北海道放浪の貧困にあえぐ、やせた文学青年像が浮かんできます、実像はどうだったのでしょうか?



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