赤ちゃんはどのようにして母国語を学んでいくのかを考察して、言語の仕組みを解析する試み。日本語を基本にして言語の仕組みを考えていくのが本書で、赤ちゃんが動詞と名詞の違いに気がつくところから。赤ちゃんは数多くの事例を学びながら2-3歳程度になる頃には、どの言葉が動詞なのかに気がつくという。また、「投げる」のは手であり足ではないことにも、間違いながらも理解が到達するのがこの頃。高い低い、高い安い、前後左右、対象物の前と後ろ、自分と対象物の位置関係などとの関係にも気がついてくる。色彩表現は言語により違いがある。日本語の赤橙黄緑青藍紫と他言語では同じ赤や紫でもレンジが異なり、黄色とオレンジでは明らかな違いもあるという。これらは色彩表現全体のシステムとしての理解が重要となり、単色を一つずつ理解というよりも、全体系統を覚えるのが色彩の言語表現。
言葉の習得は、発見、創造、修正の繰り返し。間違った使い方、子供らしい言い間違いなどがこれに当たる。AIにできない部分がこれであるが、AIは大量のデータ収集により言語習得を進める。人間の思考は言語によって行われる。つまり学んだ言葉を手がかりにして新たな語彙を身に着け、語彙の広がりが理解する世界の広がりとなる。「愛」の概念、「数」の概念は、近似的な一部の理解がその周りの概念理解につながる。本書内容は以上。