我が子を過失とはいえ自らの手で椅子から叩いた結果落下、2歳の子供を、いすの下にあったおもちゃ箱の角で頭を打って死亡させてしまった。妻の名前は琴美、彼女とはそれが原因で離婚、職も失った。こういう過去を持つ満典はギリシャに渡り、エフィーという女性と結婚、現地で暮らすようになって4年がたっていた。エフィーには過去を教えていないまま結婚を続けていた。ギリシャ国立博物館にあるアルタミスの馬と乗り手、というブロンズ像はその2歳の子そっくりに思えたのだ。満典とエフィーはギリシャ語と日本語でコミュニケーションをとる。エフィーも日本語を話し、満典もギリシャ語を話すが、どうしても超えられない壁を感じるときもある。満典はドラッグの運びやのようなアルバイトで生計を立てていたのだが、そこに地中海クルーズでクサダシからあるものを運び出してくれたら5000ドルだす、という話に乗ってしまう。エフィーをつれてその地中海クルーズに出かけて、さまざまな人物たちとであう。クルーズで謎のドイツ人が現れ、クサダシでの任務は失敗すると告げられる。そのドイツ人は信じられない、と満典が伝えると、12万ドルを手渡され、そのお金を無事にアテネに帰り着いたら、そのドイツ人の娘に送金してくれ、それが自分の話が本当だという証だという。不思議な話だが、満典はそのドイツ人の話を信じようとするが、ドイツ人は失踪、その後、アテネでこの仕事を依頼した男が現れ、このたくらみが失敗したことを告げられる。事件のさなか、満典はエフィーに日本での自分の過去を伝えるが、エフィーは満典を信じるという。満典はエフィーをつれて日本に帰ることを決意するが、エフィーの母親が脳溢血で入院、満典だけが先に日本へ帰り、就職が決まったらエフィーを呼び寄せることを約束する。ここまでが上巻。 海辺の扉 上 (文春文庫) 海辺の扉〈上〉 (角川文庫) 読書日記 ブログランキングへ