一般理論を読む 目次「一般理論」は、失業の原因をめぐって何と闘ったのか それはリカードからマーシャルにいたる古典派・新古典派の「常識」である。その「常識」とは 〈貯蓄=投資である。なぜなら供給=需要だからである〉 という同義反復である。「個人の所得は全額サーヴィスや商品の購入に支出される。たしかに、個人は所得の一部は支出し、他の一部は貯蓄にまわす、とはよく聞く言である。だが、人が所得のうちの貯蓄 . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 第1編でケインズは古典派(リカードに源を持つ論客達)を相手にしていた。第2篇でケインズは目前の資本主義を相手にしている。 それは、我々にとってもなじみ深い資本主義である。 それは、資本装備が巨大化し「スクラップアンドビルド」が簡単ではなくなった資本主義であり、 それは、ケインズが言うところの「アニマルスピリット」が欠けた「とりあえず」やってみようとはならない、資本主義である . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次実は一般理論の「価値論」となる ケインズは第2編冒頭に次のように記している。「私が本書を執筆するさい、議論の進捗を図るうえで最も障害になり、そのためなんらかの解決を見るまでは自分の考えを適切に表現することができないと思われた難題として、次の三つのものがある。すなわち、 第一に、経済体系全体に関する問題にふさわしい単位の選定。 第二に、経済分析において果たす期待の役割。そして . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 この章は第2編の三つの目的 第一に、経済体系全体に関する問題にふさわしい単位の選定。 第二に、経済分析において果たす期待の役割。そして 第三に、所得の定義。 の一番目の問題に充てられている。 第4章はケインズにとっての貨幣論であり価値論である。多分マルクスから多くを学んでいる。一般理論中最も資本論に近い箇所である。 ただし、一般理論を読まずにこの解説だけを . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 第二の問題、「経済分析において果たす期待の役割 」についての論述である。 ただし、詳しくは「第12章 長期期待の状態」を待たねばならない。期待と均衡の根本的な違い 均衡は事後的に訪れるものだが、雇用量は事前に「期待」によって決まる。これは日々投資量を決定している資本家には自明のことだが、世間知らずで事後的にしか経済事象が見えない経済学者にはどうしても理解できないことらしい。 . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 今回から第6章 所得、貯蓄および投資の定義 に入る。 計4回+「付論 使用費用について」2回の長丁場である。難解だとは言いたくないが簡単ではない。「期待」の概念を縦横無尽に駆使しないとわからない。 所得、貯蓄、投資を定義することで恐るべき結論が出てくる。その一部は第3章有効需要の原理で展開されている。所得の定義 まず、所得を定義しようというわけである . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次使用費用とは資産項目である⁈前項で期首資本装備額+期中売上高―使用費用―要素費用=付加価値(所得)+期末資本装備額という式が得られた。 このうち要素費用は仕入れ額(賃金を含む)だから、確定する。使用費用以外の他の5項目もしかりである。では使用費用はどのように確定するのだろうか。 この式から使用費用を求めると使用費用=期首資本装備額―期末資本装備額+(期中売上高―付加価値―要素 . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次一国の総所得の定義はどうなるのだろうか?所得の定義における使用費用から、一国の総所得は総付加価値―総使用費用である。 ケインズは、逐一考えていく。その思考を辿るためには脳細胞を100%使う必要がある。 所得を確定するには、期中粗利益の一部は、期首資本装備からもたらされたものであるから、ケインズの言うところの「価値のうち前期から引き継いだ装備が(なんらかの意味で)寄与した部分」 . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次借り手のいない資金は存在するのか?ここでいったん使用費用の議論から離れる。すぐ戻るが。第6章 第2節「2 貯蓄と投資」 をどう読むのか? 大混乱を起こすところだが、きわめて重要な節である。大混乱の原因はここまでの議論で所得―消費の残余分(すなわち貯蓄)だけ投資が行われる保証はないとしてきたのに、ケインズはこの節で必ず貯蓄=投資となると主張しているからである。 これまでの「投資 . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 前回、使用費用を以下のように定義した。使用費用=資本装備の増減価額+投資額 これに対して使用費用は機会費用である、という議論も存在する。資本装備を稼働しなかったときの逸失利益を使用費用とする議論である。これは一考に値する。検討してみよう。使用費用は機会費用か? ここでケインズの論述に戻ると「われわれは使用費用を、装備の適切な維持改善に要する費用と他の企業者からの購入額とを加 . . . 本文を読む