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日本の完全雇用は失業率3%以下と言われてきたが
このブログではケインズは「自由放任下での完全雇用不可能性命題」を主張しているとしてきた。コロナ下にある本年5月の完全失業率は2.9%。今後さらに悪化することは見込まれるとはいえ、日本における完全失業率は2017年6月から連続36カ月3%を下回り続けている。
しかし物価は大して上がらず、デフレ脱却の実感には乏しい。
不安定雇用という概念
失業者の周りに膨大な非正規労働者がいることは知られている。非正規労働者は失業と雇用の間を行ったり来たりしており、だからこそ「非正規」労働者と呼ばれるのだ。
失業者と非正規雇用を一つのまとまりとしてとらえ「不安定雇用」と名づけよう。
失業者+非正規雇用を分子、失業者+非正規雇用+雇用者を分母とすると失業率と類似の不安定雇用率が得られる。
男性の10歳年齢階級別の経年変化をグラフにしてみた。
失業者は大きく減っているが不安定雇用率は高止まりしており、特に25歳~34歳が20%で安定してしまっていることは将来的にも大きな問題である。
この項では、これ以上展開しないが完全雇用からは程遠いことがお分かりいただけたと思う。
失業率がこれだけ低いのに物価が上がらないのはなぜだ?などと言っている人々に「不安定雇用」という概念を捧げる。
最後に付言しておくと、不安定雇用問題は法的規制だけでは解決しない。
問題は需要にあるのだから。
投資不足にあるのだから。