Fantasy Football(ファンタジーフットボール)戦記

NFLのFantasy Football(ファンタジーフットボール)のほかMLBやNBAについて語ります

この際なのでQBレーティングを理解することにした

2016年02月23日 07時00分00秒 | Stats
この後、このコラムではいろいろ選手の個人成績を解析していくつもりです。そこで、この際なのでQBパッサーレーティングを理解することにしました。

まずは算出のための公式について。必要になるのは、「パス成功率」「パス平均獲得ヤード」「TDパス成功率」「INT率」です。

パス成功率 = パス成功回数 / パス試投回数 × 100
パス平均獲得ヤード = パス獲得ヤード / パス試投回数
TDパス成功率 = TD回数 / パス試投回数 × 100
INT率 = INT回数 / パス試投回数 × 100

そのあと、ここで出たそれぞれの数字に係数をかけて、同じレベルにそろうよう換算します。実はこの換算式にはちゃんと根拠があって、1960~70年代のリーグの数字を基にそれぞれの数値の平均値が「1」になるよう調整した結果なのだそうです。

(a)………(パス成功率 - 30)× 0.05
(b)………(パス平均獲得ヤード - 3)× 0.25
(c)………  TDパス成功率 × 0.2
(d)………  2.375 - (INT率 × 0.25)

そしてそれぞれの換算後の値がどれだけ大きくても、「2.375」を超えたら2.375に置き換えて計算します。その逆もありで、小さい場合は、最小値を0にします。マイナスはありません。

そうしてはじき出すのが以下の数字。

パッサーレーティング=((a)+(b)+(c)+(d))/ 6 × 100

パッサーレーティングには満点(158.3)がある、と聞いたことがあるか思います。これは4つの評価項目 × 2.375(それぞれの最大値)/ 6 × 100 = 158.3という式から導き出されるのです。

この計算式を逆算すると、この数式ができた当時の平均的なパス成功率、パス平均獲得ヤード、TDパス成功率、INT率と、どれだけの成績をとれば満点になるかをはじき出せます。

パス成功率は、1 / 0.05 + 30 = 50が1960-70年当時の平均です。満点を取るには2.375 / 0.05 + 30 = 77.5となりますので、4回投げて3回成功ではまだ足りない。細かく言うと40回投げて31回成功でちょうどこの値です。

パス平均獲得ヤードは、1 / 0.25 + 3 = 7ヤードが当時の平均。満点を取るには2.375 / 0.25 + 3 = 12.5ヤードが必要ですから、ロングボムが何本かないと厳しいですね。

TDパス成功率は、1 / 0.2 = 5が当時の平均。20回に1回なのでまあクリアできそうです。満点を取るには、2.375 / 0.2 = 11.875%ですから、パス9回につき1回を上回るペースでTDパスを投げないといけません。

そしてINT率は平均で(2.375-1)/ 0.25 = 5.5ですから、100回投げて5INT以下に抑えられれば及第点です。満点を取るには2.375からの引き算ですから、INT0が必須ですね。

ここからはじき出されるレーティングですが、もし4つの評価軸がすべて1(つまり70年ころの平均)なら、4 × 1 / 6 × 100 = 66.7です。それが選手の能力向上に伴い、2008年は平均で85になったとのこと(後藤完夫著、「NFLの(非)常識」より)。このときはパス成功率は62、パス平均獲得ヤードは7ヤード、TDパス成功率は4%、INT率は2.5%だったそうです。

このあたりを分かりやすくするため、パス試投回数を40にして計算した値が下の表になります。

よくテレビ中継などで、「100ポイントを超えるといいパス成績」といわれますね。レーティングで100ポイントを得るには、4つとも換算後に「1.5」になるとして計算した場合、パス成功率60、パス平均獲得ヤードは9ヤード、TDパス成功率は7.5%、INT率は3.5%です。

それをパス試投回数40回を基準にして換算すると、パス成功回数は24回で、獲得ヤードは360、TDを3回して、INTは1回ちょっと(上の表の3列目)になります。レーティングの値ではピンときませんが実数に換算するとイメージがわきますね。
 
せっかくなので具体的なデータで計算してみましょう。使ったのは2015シーズンのデビュー戦でいきなりパーフェクトレーティングを飾ったTENのMariotaの成績。NFL.comにあったデータはこちらです。


満点をとれたのは、パス試投が15回と少なく成功率が高かったことが大きいでしょう。そして獲得ヤード数がそれほど大きくなくても、効率がよかったので平均獲得ヤードが伸びました。さらにパスでのTDが4回もあったことが効きました。

もう一つ、2015シーズンのKC戦でPeyton Manningがレーティングが0ポイントだったというニュースがありました。この時はどのような数字を残していたのでしょう。

レーティングでは最小値は0で、それぞれの値にマイナスはありません。ところがManningのパス成功率も、パス平均獲得ヤードも、換算のための引き算の時点でマイナスになりました。INT率は20回投げて4回ですから驚異の20

(a)………(25 - 30)× 0.05 = -0.25
(b)………(1.75 - 3)× 0.25 = -0.3125
(c)………  0 × 0.2 = 0
(d)………  2.375 -(20 × 0.25) = -2.625

公式に当てはめると、とてつもない数字になっていました。特にINT率の換算結果は-2.625となり、プラス方向の上限値2.375を絶対値で上回ってしまいました。こうなるとマイナスの数字の大きさを述べても意味がないので、計算はここで終わりにしました。


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