タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

<STAP細胞の小保方氏が博士論文取り下げか(3月15日)>

P1320689Photo 新型万能細胞(STAP)の論文を英国の科学論文誌『ネイチャー』に発表した、理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダー( 写真は、<msn産経ニュース 2014.3.15 22:19>から転載)が、三年前に早稲田大学に提出した博士論文を取り下げる意向を示しているという。
 自然科学や医学の分野における論文のデータ改ざん及び他論文からの無断引用は珍しいことではなく、過去に数多の実例がある。不正行為を含む少なくない数の論文が審査の網の目をすり抜けている状況を斟酌すると、小保方氏は運が悪かったと言えなくもないが、この際、初心に立ち返って、J・ジバルディ、W・S・アクタート編著『MLA英語論文の手引』原田敬一訳(北星堂出版)を読み直すのがよかろう。
 以下に、私が1993年11月に執筆した小論の第Ⅱ章「自然科学と客観的事実」(『釧路論集』第25号)を呈示し、不正の実情を確認したい。

 ニューヨーク・タイムズ紙の科学記者、ウィリアム・ブロードとニコラス・ウェードの共著『背信の科学者たち』牧野賢治訳(化学同人、1988)の前書きは、「科学は厳密に論理的な過程であり、客観性こそ科学研究に対する基本的な態度である。科学者の主張は同僚科学者による審査や追試を通して厳しくチェックされ、あらゆる種類の誤りはこの自己検証的な科学の体系から容赦なく排除される」という伝統的な科学観への強い疑念の表明で始まっている。
 人文科学の場合と異なり、自然科学が科学的経験の認知の対象とする客観的事実には、文字どおり主観的な解釈はもちろん、偶然さえ入り込む余地はないはずだった。しかし、ハーバードやエールという名門大学も含めて、各種研究機関で頻発する科学データ捏造事件を憂慮する彼ら二人の目に映ったものは、紀元2世紀のエジプトの天文学者プトレマイオスから、20世紀のアメリカのノーベル賞物理学者ロバート・ミリカンらに至る、多くの科学者によって積み重ねられた作為と欺瞞の山だった。
?<STAP細胞論文に重大過誤(理研中間発表)>に続く?

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