三月十四日、理化学研究所の野依良治理事長は、数々の疑義が寄せられているSTAP細胞の論文について中間報告を行い、「論文を作成する過程に重大な過誤があった」(3月15日付『北海道新聞』第1面。報告の要点は同新聞・同面から、陳謝の写真は同新聞・第33面から転写)と発表した。
<第Ⅱ章「自然科学と客観的事実」つづき②> これは稀に見る迷書評と言うべきだろう。ブロードとウェードは確かに、作為と欺瞞を科学に持ち込んだ科学者個人を告発しているのではない。しかし、だからと言って、その行為を「人間ゆえの不正な行為」などと大目に見てはいない。告発の対象は、厳密な客観的論理構成という、現実とかけ離れた虚像をあたかも実像であるかのごとく装ってきた伝統的科学観であって、個々の科学者は、虚像であることを意識するか否かにかかわらず、そのような科学観の普及定着に荷担してきた責任を自らの人間的非合理性を理由に回避することはできない。科学の歪んだ実像が偶発的ではなく、科学の客観主義的自己了解の仕組みと、それに携わる者の人間性という二個のレンズを通して必然的に結ばれるとするなら、我々はそのレンズをどのように調整すべきか、あるいはレンズを交換すべきか、この問いかけがブロードとウェードの主題なのである。?<疑惑のSTAP細胞画像>に続く?
最近の「政治経済」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事