劇画『ゴルゴ13』が初めてテレビアニメ化されることを、3月23日付『讀賣新聞』第36面〈番組〉で知った(写真右)。
私は元来、オリジナル作品の映画化やテレビアニメ化を好まない。
文学作品では、自分で心の中に創りあげた登場人物像が破壊され、ストーリーも改変されることが多く、悲しい思いを何度も経験した。
漫画や劇画の場合、作品の出来映えは、絵もさりながら、声優に大きく左右される。寡黙なゴルゴが、依頼された仕事を遂行する際、想定外の事実や現象に気がつくと用いられる<?>や<‥‥>は、テレビアニメの声優では絶対に表現できない。
新聞記事では、「ゴルゴの声を担当する舘ひろしは『大好きな作品なので、非常に光栄に思っている』と意欲十分」と記されているが、俳優や声優は、自分の思い入れで役をこなすものではなかろう。
事件の場所を物語の冒頭で示す、この美しい細密画は、テレビアニメでは失われるだろう。ゴルゴの冷徹な心とは対照的に、詩的な雰囲気が漂うこの風景画は、読者に束の間の安らぎを与える役目を果たしてくれた。
<下段の写真左は、『ゴルゴ13』ビッグコミック増刊・第118号、中は、第 123号、右は、第142号から転写>
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